11月初めまでにピークアウトした例の多い株高

AIブームなどを受けて高値更新が続いたナスダック総合指数は、10月末にピークを打って下落に転じた(図表1参照)。その後は5%以上と最近では比較的大きな反落となった。

【図表1】ナスダック総合指数の推移(2023年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ナスダック指数と連動したように上昇した日経平均は、10月の高市新政権誕生を前後してナスダック指数を「上放れ」したようになっていたが、やはり10月末をピークに反落に転じた(図表2参照)。

【図表2】日経平均とナスダック総合指数(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ナスダック総合指数のNYダウに対する相対株価は、2000年のITバブルで記録した以上の割高に拡大したが、それがこれまでのところのピークになったのが11月3日だった(図表3、4参照)。このように、株高は11月初めにかけてピークアウトしたようになっている。それは、なぜだろうか。

【図表3】ナスダック総合指数のNYダウに対する相対株価(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表4】ナスダック総合指数のNYダウに対する相対株価(2023年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

専門家が注目した「オフイヤー選挙」の結果=トランプはピークを過ぎたのか?

11月4日に米国でいくつかの選挙が行われた。大統領選挙の翌年の選挙は、基本的に注目度の高くない「オフイヤー選挙」と呼ばれるが、今回は専門家の間でもかなり注目に値する結果になったようだ。

一般的には、極端な左派の民主党候補が勝利したニューヨーク市長選挙が話題になっていたが、専門家の多くが注目したのはヴァージニアとニュージャージーという2つの州知事選挙で、ともに民主党候補が勝利したことだった。これらの結果は、「トランプはピークを過ぎたのか」(11月7日付け英FT紙)と受け止められたようだ。

暗号資産暴落は前兆だったのか?=トランプ一族ビジネスへの打撃が懸念

トランプ米大統領の影響力の低下は、実は10月から始まっていた可能性がある。その兆しとして一部で注目されていたのが、ビットコイン(BTC)など暗号資産相場の急落だった。一部報道によると、「トランプ一族の暗号資産ビジネスは、1年間で時価ゼロから1.5兆円になった」とされる。それほど強くコミットしていたとみられる暗号資産だったが、たとえばBTC/米ドルは10月の高値から最近にかけて3割近い大幅下落となった(図表3参照)。それはトランプ一族の暗号資産ビジネスに大きな打撃を与えた可能性が高いのではないか。

【図表5】BTC/米ドルの推移(2023年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

トランプ米大統領の強い影響力に変わりなければ、暗号資産相場の暴落は回避できたのかもしれない。それができなかったことは影響力の低下を感じさせ、実際に暗号資産相場が暴落したことは自身のビジネスに打撃を与えた可能性が高いだろう。

そうした中で行われた11月4の「オフイヤー選挙」。その結果は、「民主党にとって単に良いだけでなく素晴らしいものだった」(FT紙)と受け止められ、トランプ米大統領の影響力低下が選挙にも着実に反映されたことが確認された。それと世界的な株高に浮上した転換の兆し。以上を踏まえると、11月4日以前に起こらなかったことが11月4日以降も起こらないと考えるのは間違いなのかもしれない。