10月31日といえばハロウィンの日です。日本では、魔女やゾンビなどに仮装して街に繰り出す10代から20代の若者を中心としたイベントとしてすっかり定着しています。そのため、仮装になじみのない世代にとっては「自分には関係ない」と感じられるかもしれません。しかし、株式市場には「ハロウィン効果」と呼ばれるよく知られたアノマリーがあり、これを活用した投資法が「ハロウィン投資法」です。今回は、このハロウィン投資法について紹介します。
ハロウィン投資の効果は高い、76回のハロウィン投資すべてを平均した騰落率は+7.87%
「ハロウィン効果」とは、10月末のハロウィンの日に株式を購入すると利益を得やすいというアノマリーを指します。この考え方に基づく「ハロウィン投資」は、10月末に投資を行い、翌年4月末までの約半年間保有する投資手法です。
図表は、第2次世界大戦後に東京証券取引所が再開された1949年以降、毎年10月末から翌年4月末までのハロウィン投資における日経平均株価の騰落率を示したものです。棒グラフのうち、赤色は騰落率がマイナスとなり投資が失敗した年、紺色はプラスとなり成功した年を示しています。失敗した年は成功した年に比べて大幅に少なく、全体で55回がプラスでした。つまり、成功率は約72%と高水準です。また、76回のハロウィン投資すべてを平均した騰落率も+7.87%と明確な上昇傾向を示しています。
注2:勝率は過去76年間の検証において、成功した年の割合
出所:日本経済新聞社のデータを基に、マネックス証券作成
ハロウィン投資の効果が高いと考えられる2つの理由
セル・イン・メイ(Sell in May、5月に株を売れ」と言われるアノマリーとの関係
株価は夏場にかけて弱含みやすく、ハロウィン投資はその後の株価リバウンドを狙う戦略
ハロウィン投資の効果が高い理由については幾つかの説がありますが、一般に指摘されるのは主に2点です。以下、その2点を順に見ていきましょう。1つ目の理由は、「セル・イン・メイ(Sell in May)、5月に株を売れ」と言われるアノマリーとの関係です。
株式市場では6月以降に株価が軟調になりやすい傾向があり、5月にいったん株を手放した方がよいとされます。背景として、5月がヘッジファンドの決算期に当たり、ポジション解消の売りが出やすいこと、また7~8月は海外投資家の夏季休暇シーズンで市場の取引が盛り上がりに欠けることなどが挙げられます。9月以降は反発の機会を探る場面でもありますが、本格的な反発はハロウィン後の傾向が強いとものです。つまり、株価は夏場にかけて弱含みやすく、ハロウィン投資はその後の株価リバウンドを狙う戦略とされています。
5月~10月に株価が下落した年ほど、その後のハロウィン投資が成功しやすいのか
では、実際に「5月~10月に株価が下落した年ほど、その後のハロウィン投資が成功しやすい」のでしょうか。データを検証すると、そう単純ではありませんでした。
「10月まで株価が下落した年」のハロウィン投資成功率は69%であったのに対し、「10月まで株価が上昇していた年」の成功率は77%と、むしろ上昇局面の方が成績は良好でした。したがって、ハロウーィン投資の効果は下落相場の反発では説明できません。
上昇局面のハロウィン投資の方が、成功確率が高い
2025年はどうでしょうか。2025年5月以降、トランプ関税問題の一旦の落ち着きや高市新政権への期待感から、2025年5月から10月まで(202510月23日時点)で日経平均株価は35%上昇しています。
過去の傾向を踏まえると、上昇相場の延長線上の方がむしろハロウィン投資は成功確率が高く、足元の上昇を過度に警戒せず、積極的に臨む局面といえるでしょう。
年間を通じて最も消費が活発化する時期とハロウィン投資の関係
2つ目の理由は、11月から翌年4月までの半年間が、年間を通じて最も消費が活発化する時期である点です。クリスマスや年末商戦、忘年会、新年の初売りや年度末の支出、新生活需要など、個人消費が高まるイベントが相次ぎます。こうした旺盛な消費活動は企業業績を押し上げ、株価上昇を後押しする要因となります。この観点からすれば、年末にかけて個人消費が盛り上がる年ほど、ハロウィン投資の効果が高まりやすいと考えられます。
実際、直近の内閣府「月例経済報告」(令和7年(2025年)9月29日公表)でも、「(個人消費の)先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される」とされています。このような景気環境を踏まえると、2025年の年末商戦の盛り上がりとともに、ハロウィン投資にも大きな期待が持てそうです。
