先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反発、深セン総合指数と創業版指数は続伸となり、揃って上昇となりました。週初は先週から引き続き、方向感の無い相場展開となりました。6月8日(日)に発表された5月の中国貿易統計は輸出が7.0%増とアナリスト予想である6.7%増を上回ったものの、輸入が1.6%減と、アナリスト予想の6.0%増を下回ったことからあまり材料視されませんでした。しかし、6月9日(月)に中国人民銀行(中央銀行)が農業や小規模企業向けの融資割合が一定の割合以上の銀行について預金準備率を16日(月)付けで0.5%引き下げると発表。これが材料となり、6月10日(火)に銀行株を中心に株価は上昇しました。

さらに、中国人民銀行が12日(木)に発表した5月の中国の人民元建て新規融資が8708億元と、4月の7747億元やアナリスト予想の7500億元を大きく上回る結果となったことや、13日(金)の午後に発表された5月の鉱工業生産指数が前年比で8.8%増となり、4月の実績8.7%増を上回る結果となったこと、さらに5月の小売売上高も12.5%増となり、こちらも4月の11.9%増を上回ったことなどから、中国経済のスローダウン懸念が後退し、13日(金)の本土市場は大幅高となり、週を終えました。

一方、香港市場も中国本土市場と概ね同じような動きになりましたが、先週は米国市場が調整したことから、その影響を受けて中国本土市場ほどの上昇にはつながりませんでした。個別では、マカオ政府が中国の銀聯カードについて利用できる端末を撤去して利用を制限する方針であると報道されたことなどからマカオのカジノ関連株が軟調な推移となり、相場の足を引っ張りました。今週は重要な中国の経済統計発表がありませんので、17日(火)~18日(水)にFOMCを迎える米国株の動きに影響を受けることになりそうです。

コラム執筆:戸松信博