先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は反落、深セン総合指数と創業版指数は続伸となりました。先週は6月2日(月)が端午節の休日で休場であったため、4日間の取引となりました。国務院が5月30日(金)に農業や小規模企業向けの融資に係る金融機関の預金準備率を引き下げる意向を示しました。これに加え国家統計局が6月1日(日)に発表した5月の中国製造業景況感指数が4月の50.4やエコノミスト予想の50.7を上回り、50.8に。これらのニュースはプラスだったのですが、6月3日にHSBCが発表した5月の中国製造業景況感指数の確報値が速報値の49.7を下回って49.4となったことや、地方政府の債務が2013年までの6年間に3倍超に膨らんだことが報じられるなどして本土の株式市場は週初から方向感の無い展開となりました。
その後も上海総合指数と深セン総合指数はプラスマイナス双方の材料から方向感の無い相場展開が続きます。プラスの材料としては、中国人民銀行が4週連続、公開市場操作で資金供給を行ったことがあります。前述の一部金融機関に対する金融緩和もそうですが、中国当局は緩やかにではありますが景気のてこ入れを図っている様子が伺えます。その他では習近平国家主席が環境保護を訴えたと伝えられたこと、国家発展改革委員会が電力改革を検討しているとの報道があります。一方、マイナスの材料としては中国大手不動産会社20社の1月~5月の販売が20%超のマイナスとなったことや、IMFが2015年の中国のGDP成長率目標を7%に引き下げ、地方政府の債務を徐々に減らしていくように呼びかけたこと、中国当局が石油化学企業の新規事業の抑制強化を打ち出したことなどがあります。
一方、香港株も同じような方向感の無い相場展開でしたが、こちらは6日(金)に香港行きの飛行機に爆発物を持った中国出身の女性が搭乗する計画があるとの報道があり、市場心理を悪化させ、大きく値を下げました。もっともこちらは噂だけだったようで、具体的な行動は何も起こりませんでした。今後については引き続き中国経済の動向と当局の政策が焦点になると思います。今週は6月13日(金)に中国の鉱工業生産などの経済指標が発表され、注目されるところです。
コラム執筆:戸松信博