先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、ハンセン指数は小幅続伸、創業版指数は反発と、揃って上昇となりました。中国本土の株式市場について、週初は引き続きIPOによる需給悪化懸念から弱い基調でした。加えて言えば、国家統計局が発表した4月の中国主要70都市の住宅価格において、前月比で上昇したのが44都市と1年半ぶりの低水準となったことや、ムーディーズが中国の不動産業界の格付け見通しを安定的から弱含みに引き下げたことを受けて不動産株が軟調となり、相場の足を引っ張りました。ちなみにムーディーズは、同社が格付け対象とするような中国の大手不動産企業については財務状況が良好等の理由で厳しい状況の中でも持ちこたえやすいと評価しています。

しかしその後、中国証券監督管理委員会(CSRC)が年内のIPO件数は約100となるとの計画を明らかにして需給悪化懸念が後退(ちなみに2012年の実績件数は154件でした)。さらにHSBCが発表した5月の中国製造業景況感指数(PMI)速報値が4月の48.1やエコノミスト予想である48.3を上回って49.7となったことや、30を超える中堅都市において当局が住宅購入規制について緩和を行う計画があると上海証券報で報じられ、不動産株や銀行株が上昇し、週後半は堅調な基調となりました。

一方、香港ハンセン指数も週初は弱い基調でした。前述にある中国の不動産価格の上昇率鈍化に加え、香港の2014年第1四半期のGDPが前年比2.5%増と、2013年第4四半期の2.9%増やエコノミスト予想であった3.0%増を下回ったことが原因です。しかしその後、中国政府がサッカーくじのネット販売免許を交付する可能性があるとの報道によりテンセント(00700)が買われた他、年間380億立方メートルのロシア産ガスが中国に30年に渡り長期供給される契約が締結されたことからガス関連株が大幅高となるなどして相場を牽引。最後は中国本土同様、不動産株が上昇して堅調な株価推移となりました。

コラム執筆:戸松信博