先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は小反発、創業版指数は続落、ハンセン指数は大幅反発となりました。中国本土の株式市場は5月9日(金)に中国国務院が発表した、QFIIやQDIIの資格要件緩和や投資上限拡大といった資本市場の開放拡大政策が評価され、12日(月)は大きく上昇しました。しかし13日(火)に発表された4月中国の経済指標が予想を下回る結果となったことで市況は軟調に。具体的には小売売上高が前年同月比11.9%増(エコノミスト予想12.2%増、3月実績12.2%増)、鉱工業生産指数が8.7%増(エコノミスト予想8.9%増、3月実績8.8%増)、固定資産投資17.3%増(エコノミスト予想17.7%増、3月実績17.6%増)といった具合です。更に15日(木)には利益確定売りが入って大きく下落し、12日(月)の上昇分を帳消しとしました。
一方、香港ハンセン指数は好材料が続いて別な動きとなっています。前述の国務院の発表を好感し、12日(月)が大幅上昇となったところまでは中国本土の株式市場と同じだったのですが、その後、香港政府が2件目の住宅購入者に対する課税を軽減するとの報道があったことから香港の不動産銘柄が堅調となって相場を牽引。さらに中国人民銀行が住宅購入促進策として、大手国営銀行に対して住宅ローンの強化を指示したことが評価されて本土の不動産銘柄も買われました。更に、15日(木)には携帯電話ゲーム部門の売上が急拡大して2014年第1四半期が好業績となったテンセント(00700)が大きく上昇して相場を牽引(15日(木)のハンセン指数の上げ幅の約7割はテンセントの貢献によるものでした)。週を通して強い展開が続きました。
その他の材料としては15日(木)に中国国務院が景気対策として、輸出税還付の迅速化などの貿易振興策を発表したことが挙げられます。4月上旬の小規模景気刺激策発表以降、中国当局は立て続けに景気対策を発表してきています。それが景気に効果を発揮するのはもう少し先になると予想されますが、先週も指摘しました通り、株価には底打ち感も出始めているように感じられ、一連の経済政策が具体的な効果を表してくれば、株価の持ち直しが期待できると思います。
コラム執筆:戸松信博