先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数と創業版指数は小幅続落、ハンセン指数は小反落と、揃って小幅な下落となりました。基本的には引き続き中国本土市場で新規株式公開が再開されるとの観測から、需給悪化を懸念した重い値動きでした。また、先週は中国の経済指標の発表が相次ぎました。まず、5月5日にはHSBCが4月の中国製造業景況感指数の確報値を発表。結果は48.1と速報値の48.0や3月の確報値48.0から若干上昇となりました。ただし、引き続き景況感の境目である50を下回る状況が続いており、中国経済の弱さが再度認識され、株価の下落要因となりました。

4月8日には4月の中国の貿易統計が発表。輸出は前年同月比0.9%増となり、3月の6.6%減、エコノミスト予想の3.0%減を大きく上回る結果となりました。ちなみに輸入も前年同月比0.8%増と、3月の11.3%減やエコノミスト予想の2.1%減を上回りました。結果として4月の貿易収支は184億6000万ドルの黒字となり、3月の77億1000万ドルから黒字幅が拡大しています。4月の輸出が大きく回復した背景には、人民元の下落が関係していると思われます。人民元は引き続き、年初から比べると低い水準で推移していますので、5月以降の輸出も堅調な推移が期待できると思います。

香港ハンセン指数も本土の株価指数と同じような重たい値動きでしたが、こちらではいくつかの外資系証券会社から中国の不動産市況が悪化しているとのレポートが発表され、不動産株が大きく下落しました。ただ、4月9日に発表された中国の4月の消費者物価指数が前年同月比1.8%増と、3月の2.4%増やエコノミスト予想の2.1%増よりも低かった事から、再び中国政府が追加の景気刺激策や不動産業界に対する緩和策を発表するのではないかとの期待感が高まり、週後半は底堅い動きとなっています。先週の株価指数は揃って下落となったわけですが、下落幅は小さいものとなっています。中国本土のIPOの再開や中国経済の足もとの悪さなど、悪材料は既に織り込まれつつあると見ることもでき、株価には底打ち感が出始めているとも取れると思います。4月に発表された中国の小規模景気刺激策が効果を表してくれば、株価の持ち直しが期待できると思います。

コラム執筆:戸松信博