4月「悪い金利上昇」一段落後の方向感を失った日米金利差

米ドル/円は2025年に入ってから大きく下落に向かったが、3月までは基本的に日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に沿ったものだった。そして4月に入ると一段と下落が広がったが、それは米国債が売られる中で米国株、米ドルも急落する「悪い金利上昇」局面で起こったものだった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日米10年債利回り差(2025年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

「悪い金利上昇」が一段落した後は、日米金利差は比較的狭いレンジ内での方向感のない展開が最近にかけて続いてきた。こうした中で、米ドル/円も142~146円中心に方向感のない展開が続くようになったということだろう(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2025年4月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

長期金利差より短期金利差が手掛かりに=米ドル/円

米ドル/円と日米金利差の関係では、上述のような4月の「悪い金利上昇」局面を経て、長期金利、10年債利回り差との関係性が薄れた。これは米金利上昇が、米景気回復を受けた「良い金利上昇」か、米財政赤字拡大を懸念した「悪い金利上昇」かの見分けがつけにくくなったことで、金利差拡大に対して素直な米ドル買いの反応になりづらくなったためではないか。

こうしたことから、最近では短期金利、日米2年債利回り差の方が米ドル/円の売買の手掛かりになりやすくなっている(図表3参照)。このように日米短期金利差が、米ドル/円の売買の手掛かりになる状況がこの先も続くなら、基本的には米ドル/円の先行き見通しはイメージしやすいのではないか。

【図表3】米ドル/円と日米2年債利回り差(2025年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

短期金利差が手掛かりなら新たな方向性は米ドル安・円高か

2年債利回りは、基本的に金融政策を反映する。米国ではトランプ米大統領の関税政策の影響でインフレ再燃の懸念はあるものの、そのトランプ米大統領自身はFRB(米連邦準備制度理事会)へ利下げを要求していることから利下げを続ける方向性は変わらないだろう。一方の日本は、米財務省の為替報告書の中で「日銀は金融政策の引き締めを継続するべき」との指摘もあったことから追加利上げの方向性は変わらないようだ。

以上のような日米の金融政策の方向性の違いを考えると、日米短期金利差は基本的に縮小する見通しが続き、米ドル/円の新たな方向性は米ドル安・円高に出てくる可能性が高いということになるだろう。