2025年6月12日(木)8:50発表
日本 法人企業景気予測調査2025年4~6月期
【1】結果:企業規模問わず4~6月期の景況感はマイナスに

2025年4~6月期の法人企業景気予測調査は業種規模問わず、景況感の悪化が示されました。法人企業景気予測調査は資本金1,000万円以上の法人を対象とした、企業の景況感や国内経済の見通しを調査するもので、BSI(ビジネス・サーベイ・インデックス※)と呼ばれます。今回、大企業においてそのBSIが5四半期ぶりのマイナスとなり、また、堅調であった非製造業においてもマイナス転換となりました。米国による関税の影響が反映された形と考えられ、今四半期は弱気な見通しが示されています。
※BSIとは、企業に対し業績や景況感に加え、設備投資や雇用状況をアンケート調査し、ポジティブ(上昇、増加、改善、強気)な回答をした企業の構成比からネガティブ(下降、減少、悪化、弱気)な回答をした企業の構成比を差し引いて算出する指数です。数値がプラスであれば、ポジティブな見通しであり、逆にマイナスであればネガティブな見通しをもつ企業が多いことが示されます。
【2】内容・注目点:景況感の悪化幅は緩やか、先行きでは改善が見込まれる

米国による関税の影響により、今回のBSIは悪化するとの見方が大勢を占めていました。実際に、企業規模問わず、マイナス圏での推移となったものの、その悪化幅は限定的なものにとどまりました。コロナショック時と比較しても小幅な下降であることがわかり、中小企業においては横ばいで推移しています。
また、翌四半期(2025年7~9月期)や翌々四半期(同10月~12月)の見通しは企業規模問わず、景況感が改善していく見込みで、関税による下押し影響が長引かない、ないしは改善に向かっていくと考えているようです。直近ではTACO(Trump Always Chickens Out:トランプ米大統領はいつもびびってやめる)といった言葉が流行っており、市場関係者も経済を下押しする影響が顕在化する前に、関税政策も妥協されていくとの見方となっています。先行きにおいてさほど悲観的でないことは企業活動が順次、改善していくと期待ができるでしょう。
【3】所感:設備投資も底堅さが示され、そこまで悪い内容ではない

生産・販売などのための設備判断BSIは、生産設備等の過不足を調査するもので、プラスになるほど設備の不足感が意識されることが示されます。かねてから不足感のあった設備投資は、引き続き需要があることが示されました。

また、今年度の設備投資額の見込みは前年度比7.3%増と、前回(2025年1~3月)の同5.9%増から1.4ポイント上昇し、不確実性が高い状況であったにもかかわらず上方修正されています。もちろん業種によってまちまちであるものの、製造業を中心に設備投資額の上方修正が確認され、今年度においても全体の設備投資は底堅く推移していくことが期待できる内容と考えられます。
今回の結果は景況感の悪化が示されたものの、その悪化幅が限定的であったことや設備投資の上方修正等をみると、そこまで悪いといった内容ではない印象です。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太