「骨太の方針」にも盛り込まれた防災・減災対策
6月6日、今年の「骨太の方針」の原案がまとまりました。
「骨太の方針」とは、時の政権が掲げる重要課題であり、これによって次の年度の予算編成の方向や方針が決まります。正式な名前は「経済財政運営と改革の基本方針」です。
石破政権では初めてとなる今回の「骨太の方針」には、中小企業の賃上げ促進、プライマリーバランスの黒字化といった財政健全化、コメの価格安定、水田政策の見直し、防災・減災などが盛り込まれました。その中でも注目されるのが防災・減災対策です。
2026年度の設置を目指す「防災庁」、与野党の枠組みを超えた推進を
防災は石破政権の発足時からの肝いり政策です。2026年度には防災庁の設置を目指しています。「骨太の方針」にも防災庁の設置が明記されました。
防災庁は、国の防災対策の司令塔と位置づけられます。内閣の直属の組織となる予定で、他の関係省庁に対して指導や助言を行う「勧告権」を与えられることになります。
近年の自然災害は、巨大地震は言うに及ばず、線状降水帯、台風、洪水、竜巻など、社会に与える被害が一段と大きくなっています。地球温暖化の影響も指摘されています。ひとたび災害に遭遇した人はその後の人生が大きく変わってしまいます。
人命のかかる防災・減災。自然災害の多発する日本では天災に対する備えはいくらあっても多過ぎることはありません。防災に関する専門家を多く配置し、潤沢な予算と強い行政力を持った防災庁の設置は一日の猶予もなりません。与党・野党の枠組みを超えた機動的な推進を願っています。
インフラ、通信…防災ニーズに応える銘柄は?
以下に防災関連銘柄をご紹介します。
東洋建設(1890)
海洋土木を得意とする通称「マリコン」の大手。これまでに東京国際空港の沖合展開工事(1991年)や同じくD滑走路(2010年)、中部国際空港(2001年)、関西国際空港・第2期空港島(2006年)、日本原子力発電・敦賀発電所護岸工事(2009年)などの大規模な護岸工事を手がけてきた。エネルギーや食料の多くを海外からの輸入に頼る日本の港湾は生命線。それを高度な技術で守っている。任天堂創業家の資産運用会社が大株主。業績堅調の高利回り銘柄。

日立建機(6305)
建設機械の大手。日立製作所の持分法適用会社。油圧ショベルを中心とした建設機械では小松製作所(コマツ)(6301)に次いで国内第2位、世界でも第3位に位置づける。油圧ショベルやホイールローダーは道路、鉄道、河川など社会インフラ整備のいたるところで用いられる。大型機から都市部で必要なコンパクトサイズまで幅広い製品ラインナップを持つ。オペレーターが離れた場所から指示する自動掘削、積み込み式のシステムを開発中。熟練技術者の高齢化問題にも対処する。

日水コン(261A)
上下水道を中心とした建設コンサルタント。2024年10月に株式を公開したばかりだが創業は1959年と古い。地球温暖化や人口減少など社会問題に取り組む「水のインパクトカンパニー」を目指している。上下水道などライフライン、河川や砂防に関わる社会インフラ整備のコンサルも手がけている。都市をまたいだ大規模な上水道・下水道計画の計画、設計、工事管理を推進し、クライアントは地方公共団体から海外顧客まで幅広い。筆頭株主はクボタ(6326)(19.9%)、配当性向は50%を維持。

スカパーJSATホールディングス(9412)
衛星通信サービスを提供する宇宙事業と、有料放送「スカパー!」のメディア事業が両輪。注目すべきは宇宙事業。JSATは人工衛星の運営・管理が中心で36,000キロ上空の静止軌道を保有し、日本およびアジア全域、オセアニア、中東、ハワイ、北米までをカバーしている。衛星通信は災害に強く、航空機・船舶向けインターネット回線、災害時のバックアップ回線など様々な衛星通信サービスを提供している。さらに低軌道衛星、HAPS(成層圏プラットフォーム)など多層的な通信ネットワークも構築中。
