2025年5月21日(水)8:50発表
日本 令和7年4月分貿易統計(速報)

【1】結果:4月の貿易収支は3ヶ月ぶりとなる1,158億円の赤字に

【図表1】2025年4月貿易収支の結果(速報値ベース)
出所:財務省よりマネックス証券作成
【図表2】貿易収支の推移
出所:財務省よりマネックス証券作成

2025年4月の貿易収支は、3ヶ月ぶりに1,158億円の赤字となりました。輸入金額は前月から横ばいながらも、輸出金額が下落したことで貿易収支は赤字となりました。なお、前年同月と比較すると輸出は2.0%と増えた一方で、輸入は石炭や原粗油が減少したことで2.2%減となっており、ヒストリカルにみても今回の貿易赤字の幅は小さいものといえるでしょう。

【2】内容・注目点:関税発動後の初のデータで米国向け輸出は前年同月比で4ヶ月ぶりの減少

【図表3】対米貿易収支の推移
出所:財務省よりマネックス証券作成

4月にトランプ米大統領によって相互関税が発動された後、初となる貿易収支の経済指標とあり、今回の発表は注目されていました。米向け輸出の前年同月比では、4ヶ月ぶりにマイナス転換となる1.8%減の1兆7,708億円となり、一方で輸入は同11.6%減の9,902億円とより減速が確認されました。

内訳を見ると、米向け輸出自動車は同4.8%減となる5,130億円と、影響の大きい輸送用機器が寄与しており、関税による影響が早くも現れた格好となります。もっとも、米国向けの自動車の輸出数量は上昇しており、単価の低い自動車が輸出される等、関税の影響によって顕著な低下が見られたわけではないようです。

【図表4】対世界 輸送用機器の輸出の推移
出所:財務省よりマネックス証券作成

自動車部品や二輪自動車等を含めた輸送用機器(対世界)を見ると、2023年以来輸出額は振れを伴いながら、2兆円前後での推移であったことがわかります。2024年度の米国向け輸送用機器の全体に対するシェアは約30%と試算され、やはり米国への輸出は全体への影響度が大きいものでしょう。図表4の前年同月比を見ても下落傾向がみてとれ、関税交渉の進展によっては低下トレンドが続くものと推察されます。

【3】所感:半導体輸出も減速が見られる

【図表5】主要な輸出品目の推移(前年府同月比、%)
出所:財務省よりマネックス証券作成

その他の主要な輸出品目を見ると、内容はまちまちですが、印象的なものは半導体の分野です。電子機器に含まれる半導体等電子部品は持ち直していますが、日本が得意とする半導体製造装置はマイナス転換となりました。米国向けの半導体輸出も低下しており、先行きにおいて同セクターに個別の関税が課された際には、更なる落ち込みの可能性も視野に入れておくべきと考えられます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太