「ムーディーズあまり信用していない」とベッセント財務長官。とはいえ、週明けの市場、初動は米国債売り、米ドル売り、米国株売りのトリプル安で反応。ただし、反応は極めて限定的です。トランプ大統領が相互関税のフリップを全世界に披露した時のほうが米国信認低下の危機度が高かったですね。というのも、すでにS&Pグローバル・レーティングは2011年に、フィッチ・レーティングスは2023年に米国債の格下げを行っていましたし、今回格下げを発表したムーディーズも2023年11月に格付け見通しをネガティブに引下げ、昨年9月と今年3月に格下げを示唆するレポートを出していました。つまりサプライズではなかったのです。
ベッセント財務長官は「ムーディーズは遅行指標、それが格付会社に対する一般的な見方だ」と格付機関をこきおろしており、格付機関の格下げにいちいち過剰に反応するなとメッセージを発しています。そう、忘れもしませんリーマンショック。格付機関はサブプライムローンを組み込んだ証券化商品にAAAなどの高格付けを多数付与していました。100年に1度の金融危機につながるサブプライムローンのリスクを見抜けず高格付けを付与していた格付機関の言うことに、どれほどの信憑性があるというのか。ベッセント財務長官の言うことも理解できますね。
米国長期金利は昨日月曜日に一時4.56%と4月のタリフショック以来、およそ1ヶ月ぶりの高水準まで上昇しましたが続かず。つまり米国債売りが持続する展開とはなっていません。ここから問われるのは米国の景気動向…と言いたいところですが、トランプ関税の猶予90日の期限となる7月8-9日が近づくとまた関税を巡る報道でマーケットのボラティリティが上がりそうです。