先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は週末に急騰して反発、創業版指数と香港ハンセン指数は続落となりました。中国本土の株価指数については週央までは軟調な状況が続いていました。特に、浙江省の大手不動産企業である浙江興潤置業投資が約400億円の銀行融資を返済できない、債務不履行状態になっているとの報道が中国の信用リスクへの懸念を増大させ、不動産株や不動産企業に融資を行っている銀行株が大きく売られました。ところが週末になると、不動産開発会社2社の私募形式での新株発行による資金調達が証券当局から認められて、信用リスクへの懸念が大きく後退。不動産株、銀行株を中心に反発となりました。

その他の注目材料としては人民元の米ドルに対する為替レートが過去1年の最安値をつけるなど、急落していることです。中国当局はこの人民元の下落は意図的ではないとしていますが、ともあれ人民元の下落は中国の輸出企業にとってプラスであり、当然、株式市場にとってもプラスとなります。この人民元の急落前は、人民元は長期的に緩やかに上昇していくと予想する投資家が多かったので、人民元の上昇に賭けた投機資金が流入する状況が続いていました。しかし、今回の急落により、投機資金は締め出され、結果的に人民元急落の一因となっています。

一方で、香港ハンセン指数ですが、こちらは指数構成ウェートの大きな部分を占める中国移動(00941)とテンセント(00700)の2013年第4四半期の業績が予想よりも悪かったことから、週間では下落となりました。しかし、前述のように中国の信用リスク懸念が後退しているので地合いは悪くないと思います。米国株が堅調に推移していることもプラスです。今後ですが、人民元レートの下落がどれぐらい企業業績や経済にプラスになってくるのかと、中国政府が悪化する経済指標を背景に小規模な景気刺激策を出すかどうかを見極めていく相場展開になっていくと思います。

コラム執筆:戸松信博