7週連続で52週MAを下回った米ドル/円

米ドル/円は先週(3月17日週)までに7週連続で52週MA(移動平均線、3月21日現在152.5円)を下回った。このように1ヶ月以上と「長く」52週MAを下回ったケース(赤丸印)の多く、2002、2007、2015年などは、その後一時的な上昇も低下する52週MAに抑えられる形で一段安に向かっていた(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

ただし、例外が全くなかったわけではなかった。その1つは2024年8月のケースで、米ドル/円は52週MAを「長く」、「大きく」下回ったものの、その後10月末から断続的ながら約3ヶ月と「長く」、再び52週MAを上回る動きとなった。

これは、トランプ米大統領「復活」をテーマとした「トランプ・トレード」と呼ばれる取引が拡大した局面だった。この「トランプ・トレード」は、米ドル/円の一時的上昇の範囲を大きく超える異例の米ドル/円反発をもたらすものとなったわけだ。

「トレンド」が円安から円高に転換した可能性

以上のように見ると、トランプ大統領の影響などで再び不規則な動きにならない限り、米ドル/円は一時的上昇も52週MAを大きく超えられない程度にとどまり一段安に向かう、つまり複数年続く流れである「トレンド」が円安から円高に転換した可能性が高まっているのではないか。

円高へのトレンド転換は、52週MAとの関係で見ると米ドル/円以上にクロス円で可能性が高くなっているケースが多そうだ。ユーロ/円は、米ドル/円と同様に2024年8月に52週MA(3月21日現在163.5円)を下回ると、その後は一時的上昇もまさに52週MA前後までにとどまり、基本的には52週MAを下回る水準での推移が続いてきた(図表2参照)。

【図表2】ユーロ/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

豪ドル/円は、やはり2024年8月に52週MAを大きく下回り、その後11月の米大統領選挙前後に1ヶ月程度52週MA(3月21日現在99.4円)を上回ったものの、再び52週MAを下回ると、足下では52週MAを5%以上と「大きく」下回っている(図表3参照)。

【図表3】豪ドル/円と52週MA(2008年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

クロス円が先行する形で円安から円高へトレンド転換した

以上のことから、クロス円は米ドル/円ほど「トランプ・トレード」の影響が大きくなかったためか、不規則なチャートの動きといった意味の「ダマシ」が異例なほどに大きくなることもなく、ほぼ教科書通りの円安から円高へのトレンド転換を示す値動きとなっているケースが多いといえるのではないか。

トランプ大統領の不規則な言動の影響は引き続き油断できないものの、52週MAとの関係で見る限り、クロス円が先行する形で円安から円高へトレンド転換した可能性が着実に広がっていると言えそうだ。