モトリーフール米国本社- 2025年2月25日 投稿記事より

影響力のあるグロース株投資家の投資行動

キャシー・ウッド氏の2月最終週の取引初日は静かなものになりました。アーク・インベストメントの共同創設者であり、同社CEOであり、銘柄選択のエースでもある同氏は、グロース株中心の上場投資信託のファミリーを通じて、わずか4件の取引を実行しただけでした。今回はそのうち3銘柄について、お話しします。

ウッド氏は2月24日、アマゾン・ドットコム[AMZN]、イリジウム・コミュニケーションズ[IRDM]、データドッグ[DDOG]の既存保有株に追加投資しました。アーク社の最新の投資対象を詳しく見てみましょう。

1.アマゾン

大手オンライン小売業者は買い物客のハブとなっていますが、買い物をする側としてもかなりうまくやっています。アマゾンは、AIスタートアップのAnthropicに80億ドルを投資しており、12月の時点ではその持分は140億ドルと評価されていました。この投資は今後も増え続けるとみられます。

Anthropicは、最新の資金調達ラウンドで20億ドルの調達を目指していましたが、2月24日(月)に強い関心を受けて新たなシード資金が35億ドルとなったと発表しました。Anthropicの評価額は現在615億ドルとなっています。

アマゾンは2025年2月初め、ホリデーシーズンの四半期決算を発表する2日前に史上最高値を更新しましたが、現在はピーク時から12%下落しています。なお、第4四半期決算は、損益計算書の両端(売上高と純利益)で予想を上回りましたが、低調なガイダンスは、「マグニフィセント・セブン」の主力企業に対する強気シナリオを冷ます形になりました。

アマゾンの成長が鈍化しています。アマゾンのクラウド・ホスティング・プラットフォームであるアマゾン・ウェブ・サービスが12%をはるかに上回る成長を続けているにもかかわらず、アマゾン全体の売上高の伸びは、過去3年にわたって年率12%に届いていません。

第4四半期の売上高はわずか10%増、2024年通期では11%増でした。株価が12%下落し始めたきっかけとなった2025年2月の財務報告は、eコマースの巨大企業であるアマゾンが今四半期の成長率をわずか5%から9%と予測したことで締めくくられました。アマゾンの前年同期比成長率が今四半期のレンジの中間値である7%を下回ったのは、2001年夏まで遡る必要があります。

明るい兆しは、アマゾンの純利益が売上高よりもはるかに速いペースで成長していることですが、それでも収益倍率ベースでみると割安とは言えないでしょう。最近の調整後でさえ、株価は今年の予想利益の34倍、来年の利益目標の28倍で取引されています。ウッド氏は、大手eコマース企業であるアマゾンが投資家からやや見放されているなかでも、アマゾンへの投資にまだ価値を見出しているようです。

2.イリジウム

イリジウムは、この3つの銘柄の中で2025年に入って値上がりしている唯一の銘柄ですが、まだ勝ち誇るのは早いとみられます。データ・音声衛星通信のスペシャリストである同社の株価は、2024年初めから20%超下落しています。イリジウムの事業は一貫して成長していますが、そのペースは穏やかなものです。過去6年間のうち5年間、売上高は1桁台の増加にとどまっています。

2025年2月月初めの四半期アップデートは好評でした。売上高の伸びは第4四半期には9%にまで加速し、その主な要因は顧客数の8%増加によるものでした。現在、課金対象の加入者は250万人近くに達しています。イリジウムは、2025年の主力サービス収入の伸びを5%から7%と控えめに見ていますが、少なくとも正しい方向に進んでいることは間違いありません。

3.データドッグ

アマゾンの株価は2025年に小幅安で取引されていますが、データドッグは2025年年に入って18%の価値を失いました。今回の急落は、過去7営業日の間に起こりました。その要因は期待外れの最新の決算発表を受けてのものです。最近の株価下落にもかかわらず、データドッグは依然として成功を収めているハイテク企業の一つと言えるでしょう。なぜなら、2019年の株式公開以来、株価は3倍超になっています。

データドッグは、クラウド監視をサービスとして提供しています。同社のエンタープライズ・ソフトウェア・モジュールは、企業サイトのダウンタイムやその他の分析に不可欠な要素を追跡するのに役立ちます。

第4四半期の業績はまちまちでした。売上高は26%増加し、ウォール街の予想を上回りました。純利益も予想を上回りました。

アマゾンと同様に、強気相場を崩したのはガイダンスでした。データドッグは、売上高は前四半期比で徐々にフラットになり、2025年全体の成長率は19%に減速すると予想しています。また、2025年の調整後利益も減少すると見ています。なお、データドッグの株価は、決算発表から2月24日(月)の終値までの7日間、いずれも下落しています。ウッド氏はある企業を信じているとき、株価の下落をしばしば買いのチャンスと見なすことが多いです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元CEOであるJohn Mackey氏は、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Rick Munarrizは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドットコムとデータドッグの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。