モトリーフール米国本社 - 2025年2月4日  投稿記事より

EVの老舗テスラと新興のリビアン、優位性はどちらにあるか

従来の自動車メーカーが電気自動車(EV)の新型モデルを発表し、新興のEV企業が市場での地位を拡大するにつれ、EV市場は混戦の様相を呈しています。その結果、EVの販売台数は増加し、2024年は米国で7%の急増となりました。

しかし、EV関連銘柄の中から長期的な勝者を見つけるのは、現時点では決して容易なことではありません。投資家はEVが従来の自動車にどれほど速く取って代わるかを見極めようとする中、ここ数年で、多くの企業の株価が下落してきました。

そのため、確立されたEVメーカーであるテスラ[TSLA]と新興企業のリビアン・オートモーティブ・インク[RIVN]のどちらが投資対象として魅力的なのか、悩む人もいます。それぞれのケースを以下で紹介します。

テスラ:第4四半期は減収だが、新たな成長機会も

中国の自動車メーカーや新興EV企業による競争は激化していますが、テスラはバッテリー式電気自動車(BEV)市場の18%を占めており、EV業界をリードしてきました。

テスラはEV製造において早くからリードしてきたことが功を奏し、 材料費の高騰や部品不足など、小規模なEV企業なら困難な問題となるような事態を乗り切ってきました。

テスラは、モデルラインナップの一部がやや古く、公言されたより安価なEVモデルがまだ実現していないなど、もっともな批判もみられます。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、より安価なモデルが2025年後半に発売される可能性があると述べていますが、詳細はほとんど明かされていません。

しかし、テスラには新たな成長機会が控えています。マスクCEOは最近、テスラのライドヘイリングサービス(自動車による送迎サービス)の一部となる同社のロボタクシーを披露しました。世界の自律走行型ライドヘイリング市場は2032年までに4,800億ドルに達するとの予測もあり、アルファベット[GOOGL]傘下のウェイモとエヌビディア[NVDA]の大型投資は、この分野が盛り上がりをみせていることを示しています。

一方でテスラの第4四半期決算は期待外れでした。総売上高はわずか2%増の257億ドル、自動車部門の売上高は8%減の198億ドルとなりました。テスラは、モデルS、モデルX、モデル3、モデルYの平均販売価格の低下が、第4四半期の減収につながったと述べています。

リビアン:小型車販売とフォルクスワーゲンとの合弁事業の開始で明るい兆しも

リビアンは、自動車メーカーや顧客の注目を集める素晴らしいEVを製造しています。同社のブランドは、『コンシューマー・レポート』誌のオーナー満足度ランキング(EVメーカーだけでなく、全自動車メーカーの中で)で首位を獲得しており、フォルクスワーゲンもアマゾン[AMZN]もリビアンに数十億ドルを投資しています。

リビアンの2024年の自動車生産台数は13.5%減の49,476台、納車台数は3%増の51,579台となりましたが、経営陣は最近、2024年の生産を制限した部品不足の一部が解消されたと述べています。

リビアンは第4四半期(2月20日発表予定)に初の粗利益計上を見込んでいます。リビアンは2024年、製品ラインナップの材料費を削減し、生産工程の一部を再設計して経費削減を図りました。

リビアンが前途多難であることは否定できません。同社の第3四半期純損失は11億ドルで、このマイナスを縮めるのには生産量を増やすことが必要となります。しかし、同社には明るい兆しもあります。

リビアンは2026年前半に新型の小型SUV「R2」を発売する予定で、小型クロスオーバー車「R3」も控えています。R2は45,000ドルからの価格設定で、現在のR1Sのスタート価格75,900ドルより大幅に安くなっています。これにより、リビアンの顧客基盤は拡大し、より低予算の顧客をより多く惹きつけることができるでしょう。

同社は最近、フォルクスワーゲンとの合弁事業も開始し、フォルクスワーゲンが生産する将来の自動車に電気アーキテクチャと車載技術を使用ことが可能となりました。リビアンは、最大58億ドルの投資、株式、融資を受けることになります。

この提携は、リビアンがニッチ市場を狙う単なる新興EV企業ではないことを示しています。また、その可能性を見込んだ大手自動車メーカーからの多額の投資も集めています。

より良いEV株は、投資目標によって異なる

この2社は、EVストーリーの異なる段階にいます。テスラはゆるぎない企業で収益性が高く、多くの競合他社をリードしています。一方、リビアンはまだ始まったばかりの企業です。両者を直接比較するのは難しいと思われます。

どちらも所有するメリットはあると思われますが、それぞれに妥協が必要となります。例えば、テスラの株価は過去12ヶ月で100%上昇した(この記事の執筆時点)ため、株価収益率(Forward Price to Earnings Ratio)は115と非常に割高となっています。

一方、リビアンは生産台数を増やし、他の新興EV企業を撃退しようとしているため、投資対象としては、非常に投機的になると考えられます。同社の成功は保証されたものではありませんが、強力なブランド力、コスト削減を重視する経営陣、提携関係が、同社株を保有する理由になっていると思われます。

言い換えれば、EV株にプレミアムを支払っても差支えないのであれば、テスラを選択したほうがよいでしょう。しかし、EV市場で独自の道を切り開く可能性のある新興EV企業に投資したいのであれば、リビアンはよい選択肢となると考えられます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。元記事の筆者Chris Neigerはリビアン・オートモーティブの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット、アマゾン・ドットコム、エヌビディア、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はフォルクスワーゲンを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。