・2024年1月からの米ドル/円の週足チャートを見ると、2024年7月に161円まで円安になった後は大きく下がり、2025年1月にまた159円近くまで上昇した。その後、米ドルは下落傾向にあったが「トランプ関税」が発動。週明け2月3日は156円近くまで米ドルは上昇した。米ドル高・円安はまだ終わらないのか。
・関税はインフレを再燃させ、金利が上昇するリスクがあるといわれているが、2月3日、時間外の米金利は下がっていた。米ドル/円のチャートと日米10年債利回り差を重ねると、米ドル反落は金利差縮小に連動していることがわかる。金利差が再拡大するかどうかが、円安再燃のポイントとなる。
・関税を課したのに金利が下がるのは例外的な動きではない。第一次トランプ政権でも中国に高い関税を課し、2018年半ばから中国に対して関税を課し始め、貿易摩擦が懸念材料となり、年末にかけて株価は2割急落。一方、CFTC統計の投機筋の米10年債ポジションを見ると、拡大していた債券売りが9月末に一巡。安全資産である債券は買戻しされ、金利は低下した。株が暴落するようなリスクオフ局面になると、債券は買い戻される。今回も貿易摩擦が広がり、株価が大きく下がる場合、金利は下がるだろう。
・CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジションを見ると、2018年、米ドル買いが高水準で推移し、「買われ過ぎ」懸念が続いた。今回はその当時のピークに達するくらい、すでに米ドルが買われ過ぎている。ここからさらに米ドルが買われていくということはないだろう。
・今回、第一次トランプ政権と大きな違いは、空前のカナダドル売り越しである。これが中心となり、米ドルが買われ過ぎている。金利もそこまで上がらないのであれば、円安再燃はおのずと限度があるのではないか。
・DeepSeekショックはもう終わったのか。この2年くらい米国では株価が大きく下落に向かうことはなかった。NYダウに対するナスダック総合指数の相対株価を見ると、2000年のITバブル並みの割高水準に現在はある。DeepSeekショックは割高修正が入る絶好の材料と思ったが1日で終わった。しかしどこかで本格的な是正に入るだろう。