先週の中国株ですが、上海総合指数、深セン総合指数、香港ハンセン指数は大幅上昇となり、好調だった創業版指数が小反落となりました。しかし、先週から中国株を取り巻く状況は随分明るくなったように見えます。香港に上場している中国企業の株価指数である、ハンセン中国企業株指数(H株指数)の株価推移を見てみると、50日移動平均線からの乖離率が、底の目安となるマイナス10~12%に到達し、2月6日(木)には反発。その後のフォロースルーとして2月7日(金)は久々に売買高を増しながら1%以上上昇。さらに2月11日(火)は+2.5%という今年最高の上昇率で、しかも売買代金を前日より大幅に拡大させながら上昇しました。これら一連の動きからH株指数は一旦底を打ったとみて良いと思います。
上海総合指数、深セン総合指数が上昇した背景にはいくつかの理由があります。1つは中国政府の電気自動車に対する補助金政策です。電気自動車向けの補助金は、2014年に10%、2015年に15%の引き下げが決まっていましたが、2014年は5%、2015年は10%に引き下げ幅が縮小されました。これが電気自動車関連銘柄の上昇のキッカケとなりました。2つめは割安になっていた銀行株に買いが入ったこと。3つめは2014年1月の中国の輸出が前年同月比10.6%増となり、2013年12月の4.3%増から大きく回復したことです。また、3月からの全人代(全国人民代表大会)に向けて土地改革が期待されていることから(土地改革があると農地が再評価されるため)、農業関連銘柄への買いも入りました。
一方、香港ハンセン指数やH株指数については、米国株が急騰する中で、急落していた中国企業株に割安感が出て押し目買いが入ったことや、1月の中国の輸出が好調だったことより中国経済に対する懸念が和らいだことが上昇の背景と見られます。その他、中国政府が推し進める経済改革が大手企業に及ぼす悪影響が、当初懸念されていたほど悲観的なものではないとの見方が出てきたことも支援材料となりました。
コラム執筆:戸松信博