ChatGPTがリリースされたのが2022年11月。年明け1月のマネックス全国投資セミナー大阪の控室でファウンダーの松本さんらとChatGPTに色々質問してその回答の精度の高さに驚いたのを覚えていますが、それからわずか2年。週明け1月27日のマーケットでは中国のスタートアップ企業「Deep Seek」が開発し発表したAIモデルR1が話題をさらっています。週明け、App Storeアプリランキングで、DeepSeekはChatGPTを抜き1位に躍り出ました。
米国は2022年10月、先端半導体および半導体製造装置の中国への輸出を制限する規制措置を導入しました。つまり中国は最先端半導体を使うことができません。中国に高度なAI開発はできないと目されていたのですが、先端半導体を使わず、限られたリソースの中でChatGPTに劣らぬ性能のAIを作り上げてしまったのです。DeepSeekによると1つのモデル開発にかかった費用はおよそ560万ドル、開発期間はわずか2ヶ月程度だとか。これまで米国のAI開発にかけられた費用や期間と比べ物にならない低コスト、短期間での完成に市場が動揺しているというわけです。この分野の進化といいますか技術革新のスピードには驚かされますね。
この衝撃を1957年10月、当時のソ連が最初の人工衛星・スプートニク1号の打ち上げに成功しアメリカが震撼したスプートニク・ショックになぞらえる投資家も出てきました。
トランプ2.0で発表された「スターゲート計画」ではAI開発に78兆円もの投資がなされるなど、この分野への投資は続くと思われますし、息の長いテーマではありますが、過去2年続いたAI相場で高くなりすぎたハイテク株のバリュエーション調整が入る可能性は否定できません。
先週金曜の1月日銀会合での利上げ決定は、事前に市場に織り込ませた効果もあってか大きな波乱なく通過したように見えましたが、やはり拙速な利上げだったと言われかねないというか、植田さん、持ってないなぁと思う次第です。