先週の中国株ですが、上海総合指数は下落しましたが、深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数はそれぞれ上昇となりました。昨年の三中全会で示されたように、中国当局は規制緩和により市場メカニズムを各分野に導入していく方針です。この経済改革は、これまで権利を独占していた大手国有企業には不利に働く一方で、実力のある民営企業にとってはプラスに働きます。このため、中国株全体の方向性として、中小型株が多い創業版指数や深セン総合指数の株価は好調な一方で、大手国有企業の多い上海総合指数は下落が続くという流れが2014年に入っても続いている状況です。

 その一方で、香港株は米国株に追随する動きとなっています。ただし、香港に上場する中国の大手国有企業も香港の株価指数に影響を与えるため(そして中国の大手企業の株価は軟調なため)、絶好調の米国株に対し、小幅に上昇しているといった具合が続いています。個別ではクレディスイスが投資判断を引き上げた銀河娯楽(00027)や金沙中国(01928)などのカジノ株関連株が堅調です。その他、テンセント(00700)が15億香港ドルの戦略的投資の実施で合意した、物流やショッピングセンターの運営を手がける華南城(01668)が強い動きに。反面、新型のSUVの発売を4月に延期すると発表した長城汽車(02333)は大幅安となっています。

 中国の経済指標として先週発表となったのは12月の新規人民元高融資です。結果は4825億元となり、これは11月の6246億元やアナリスト平均予想の5700億元を大幅に下回る実績でした。これは当然株価にとってマイナスです。旧正月前の資金需要増を踏まえた流動性の逼迫により、特に中小銀行の融資が伸びなかった模様です。今週の注目は1月20日(月)に発表される予定のGDPや景況感指数、小売売上高などの中国の経済指標で、特に第4四半期のGDP成長率には注目です。(第3四半期は+7.8%、アナリスト平均予想は+7.6%)

コラム執筆:戸松信博