モトリーフール米国本社 – 2024年11月4日 投稿記事より

トランスメディクス・グループ[TMDX]の売上高、過去3年間で13倍に成長

肝臓・心臓・肺などの臓器移植の分野のリーダーであるトランスメディクス・グループ[TMDX]は、臓器移植プロセスに革命を起こす使命を担っています。同社が開発した臓器ケアシステム(OCS)は、ドナーから提供された肝臓・心臓・肺がレシピエントに届けられるまでの間、それらを「機能」させ続けることができます。

この極めて重要な能力を備えた、同社のOCSは全米の移植センターで急速に採用されており、トランスメディクスの売上高が過去3年間で13倍に成長したことにも表れています。

筆者はちょうど1年前に同社の株式を購入しました。当時、この成長率を見て、今後株価は乱高下するだろうと予測していました。そして、株価はその予想通りとなり、筆者が購入してから1年もしないうちに株価は3倍近くに上昇し、その後50%下落して、現在は購入時の水準をわずかに上回っています。

しかし、この1年間の乱高下を経て、当初の水準をわずかに上回るレベルに戻った今、トランスメディクスはより堅実な投資先になったと思われます。直近の第3四半期決算こそ精彩を欠いたものの、以下の3つの理由から、株価が50%下落した今こそ、トランスメディクスは今後数十年にわたって保有継続を検討するトップクラスのグロース株であると筆者は考えます。

トランスメディクス、3つの魅力

第3四半期売上高が前年同期比で64%も増加したにもかかわらず、トランスメディクスの株価は1日で30%も急落しました。これにより、同銘柄はドルコスト平均法での投資銘柄候補の1つとなったと思います。その理由を以下に挙げます。

1.重要な市場において、市場シェアが拡大している

トランスメディクスの全国OCSプログラム(NOP)は、臓器提供プロセスで採用されている従来の低温保存法と比べてはるかに優れ、同社の市場シェアは過去数年間で急上昇しています。

米国では2022年に、心臓・肺・肝臓の提供が合計約1万6,000件あり、そのうち約6%に相当する約1,000件が、トランスメディクスを通じて行われました。それからわずか2年後の2024年、経営陣は約3,750件の臓器移植を扱うと予想しており、市場シェアは約20%と、3倍となる見通しです。

2010年以降に年間4%の成長を続ける臓器移植業界で、市場シェアがこれほど拡大しているということは、長期的な成長ストーリーが期待されます。さらに、トランスメディクスの機器を含むサービスの向上や、急成長する物流ネットワークの効率化もあり、臓器提供はこのところ加速的に増加しており、心臓と肝臓の提供件数は2023年に12%増加しました。

こうした安定成長にもかかわらず、米国における肝臓と心臓の移植件数は第2四半期から第3四半期にかけて5%減少し、肺移植の件数も3%減少しました。この予想外の落ち込みを受けて、トランスメディクスの米国内の売上高は同期間に3%減少し、これに市場は厳しく反応しました。

失望を呼んだとはいえ、トランスメディクスの市場シェアが3ヶ月間で上昇しなかったというだけで警鐘を鳴らすのは尚早と思われます。実際、経営陣は2028年の移植件数が、現在の約3倍にあたる1万件に達するとの意欲的な予想を維持しており、今回の「軟調」な四半期は、投資家にとって長期的なチャンスとなる可能性があります。

2. 「グロース株」であるにもかかわらず、早期に収益性を確保

トランスメディクスはまだ急成長段階にあり、2023年には18基のジェット機を購入し、テキサス州に新たな指令センターを建設するなど、物流ネットワークを充実させるために多額の投資をしていますが、すでに利益を生み出しています。外部の輸送手段に依存するのをやめて独自の物流ネットワークを立ち上げた直後に黒字を達成し、同社は自社物流がもたらすコスト削減の成果を証明しています。

過去1年間で純利益率は8%超で上昇傾向にあり、過去4四半期のうち3四半期で営業キャッシュフローがプラスになるなど、トランスメディクスは高成長と早期の収益性を兼ね備えた数少ない投資先です。

比較条件は異なりますが、トランスメディクスの収益性は、長期的にはインテュイティブ・サージカル[ISRG]の収益性と似ているように見えます。ヘルスケア業界の別の領域で事業を展開していますが、両社のビジネスモデルは機器、付属品、サービスから売上を上げるという点で似ており、インテュイティブ・サージカルの純利益率29%はトランスメディクスにとって目指すべき高い目標と言えます。

3. (長期的に)妥当なバリュエーション:トランスメディクスの2つのシナリオ

1つ目は、2028年の移植件数が目標の1万件に届かず、8,000件となり、売上高は現在の4億ドルから約2倍に成長します。純利益率はインテュイティブ・サージカルの29%に近付くどころか、15%にしか到達しません。ただし、2024年第1四半期に既に純利益率12%を達成していたことを考えると、15%というのは不合理な数字ではありません。

この場合、トランスメディクスの現在の株価に対する2028年予想株価収益率(PER)は23倍となります。繰り返しますが、これは保守的な予想と思われます。

2つ目のシナリオは、2028年の移植件数が目標の1万件を達成し、物流ネットワークの成熟に伴って純利益率が20%に到達した場合、2028年予想PERは約14倍となります。これにはいくつかの重要な仮定が含まれますが、それでもこのシナリオは、同社が目標を達成した場合に、現在の株価がかなり割安である可能性を浮き彫りにしています。

しかも、このバリュエーションは、トランスメディクスが海外市場に進出したばかりだという事実を考慮していません。海外市場では米国の約2倍の件数の臓器移植が行われています。さらに、経営陣は以前、現在対応している3つの臓器以外の臓器へ拡大する可能性や、新たな臨床試験に参加することで、同社のOCSの適応症が拡大する可能性に言及しています。

結局のところ、投資家はトランスメディクスの過去3ヶ月の業績に過剰反応しないほうがよいでしょう。過去ではなく、足元で手頃なバリュエーションとなっているこのトップレベルのグロース株に対して、今後20~30年に目を向けたほうがよいでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Josh Kohn-Lindquistは、トランスメディクス・グループの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はインテュイティブ・サージカル、トランスメディクス・グループの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。