先週は上海総合指数、深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数はそろって反発となりました。12月はこれらの指数は下落傾向にありました。理由は2つあります。1つは米国のテーパリング(量的金融緩和の縮小)開始に伴う資金流出懸念から新興国の株価が全般的に下落していること。もう1つは銀行間取引金利が大きく上昇したことです。年末が近づいて銀行の資金需要が高まったことと金融の自由化が進みインターバンク市場における資金需要そのものが高まっていたところに、中国人民銀行(中央銀行)が資金供給を行わなかったため、銀行間市場での資金調達が難しくなり、金利が上昇したわけです。

銀行間金利の指標となる7日物レポ金利は12月23日に6月の流動性危機以来の高水準となる8.9%をつけていました。しかし、12月24日に中国人民銀行(中央銀行)が3週間振りに公開市場操作を行うと金利は落ち着き株価の反発につながったわけです。ただ、今後についても予断は許さない状況が続くと思います。まず、1月に入っても旧正月に向けて資金需要の高まりは続きます。そして中国人民銀行(中央銀行)の金融の引き締め姿勢は継続しているからです。このように考えていくと旧正月前までは株価が軟調となりやすい状況が続き、旧正月明けから短期金融市場の逼迫が収まり、株価も反発するといったことになるのではないかと予想します。

その他のニュースとしては、テンセント(00700)が483.2香港ドルをつけ、史上最高値を更新しています。背景には米国の株式市場でツィッターなどのIT関連株が堅調なこともありますが、中国の大型株の中で、中国政府が推し進める改革の影響を受けない企業ということで資金が集中している側面もあると思います(反面、中国工商銀行(01398)や中国建設銀行(00939)などの銀行株は金利自由化などの改革の影響を受けやすい)。また、国営の新華社通信が報じたところによると一人っ子政策の緩和は2014年1-3月に実施されるとのこと。これは恒安国際(01044)や合生元国際(01112)などの子供関連銘柄にとって長期的なプラスにつながってくると思います。

コラム執筆:戸松信博