先週は深セン総合指数、創業版指数は反発となりましたが、上海総合指数は反落、香港ハンセン指数は続落となっています。上海総合指数と香港ハンセン指数は11日に大きく下落しました。理由は上海精算書が中国四大商業銀行(中国銀行(03988)、建設銀行(00939)、工商銀行(01398)、農業銀行(01288))と中国国家開発銀行が総額190億元のCD(譲渡性預金証書)を発行すると発表したことです。譲渡性預金の金利は相対交渉によって発行銀行が自由に決められるものです。つまり、金利自由化の一環としての動きであり、金利自由化は短期的に銀行の収益性低下を招くため、銀行株が売られました。

先週指摘した中国の経済指標ですが、11月の鉱工業生産は前年同月比10.0%増となり、10月の10.3%と比較してほぼ横ばい、11月の小売売上高も13.7%増でしたが、10月の13.3%増と比べてほぼ横ばいでありサプライズはありませんでした。ただ、11月の輸出入については、輸出は前年同月比12.7%増と、10月の5.6%増、9月の0.3%減から比較して大きく伸びたのですが、反面、輸入は5.3%増となり、10月の7.6%、9月の7.4%から縮小傾向を示しました。輸出が伸びていることは先進国がリードする形での世界経済の拡大を示唆しているために良い兆候なのですが、輸入の伸びが縮小していることは、中国の内需の伸びが鈍化していることを示唆するものです。しかし、こちらもプラスマイナスの側面があり、株式市場にはあまり影響はありませんでした。

一方、2014年の経済運営方針を決める中央経済工作会議が13日に閉幕しました。ここで注目されたのは2014年の経済成長目標を2013年と同じ7.5%とするのか、引き下げて7.0%にするのかということでしたが、今回の会議では特に具体的な数字は出てきませんでしたし、その他も特にサプライズとなるような情報はありませんでしたので、特に相場への影響はないと思います。今週はやはり、17日~18日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が大きなポイントとなります。特に香港株は結果次第では大きく上下動することになると思います。

コラム執筆:戸松信博