・7月に161円を記録した米ドル/円は、9月には140円割れまで下落したものの、150円近くまで戻した。この円安は続くのか、それとも円高の再開は近いのだろうか。

2007年の米ドル/円パターンから今後の為替動向を考える

・現在の米ドル/円のプライスパターンは2007年と似ている。2007年の場合は10月後半から円高が再開すると、11月にはそれまでの安値を更新した。さすがにずっと同じような動きというわけではなく状況は変わるだろうが、このまま似た値動きを続けるのであれば、まもなく円高再開となるだろう。

・では2007年は何がきっかけで円高が再開したのか? おそらく株安であろう。この時はサブプライムショックがあり株価が急落した。株安が広がる中で、FRBが連続利下げを実施。日米の金利差が縮小し、円高となった。

2つのきっかけが円高転換となる可能性

・では、今回円高のきっかけとなるのは何か。注目の一つが株である。大統領選まで1ヶ月を切ったが、トランプ再選の場合は2017年12月の「悪い金利上昇」時のように、米国株の「上がり過ぎ」修正のきっかけになるのではないか。一方ハリスが大統領になっても、両者ともにインフレ政策を訴えているので同様である。いずれにせよ株安のような手がかりが出てくるかどうかが円高再燃の目安となる。

・もう一つ、円高のきっかけとなりえるのが雇用である。なぜ9月にFRBは0.5%も利下げをしたか。それは雇用の悪化ではないか。しかし9月失業率改善は利下げの見送りを示唆している。次の11月の雇用統計次第でいつ円高が再開してもおかしくない。

52週MAでトレンド転換の可能性を判断すると?

・米ドル/円は52週MAを大幅に下回ったため円高トレンド転換の可能性が高い。しかしここに来て52週MA近辺まで戻している。このトレンド転換は「ダマシ」だったのか。

・2002年から始まった円高と2007年から始まった円高、この過去2回のケースにおいても、急落の後は52週MAまで戻っている。トレンド転換直後は相場観が交錯するので反発しやすい。153~154円程度は一時的上昇の範囲内。いつ円高再開のきっかけが出てくるかに注目したい。