実は、日本には世界トップクラスの金山がある… そんな記事が昨日の朝日新聞に掲載されていました。住友金属鉱山が操業する鹿児島県の菱刈鉱山では、鉱石に含まれる金の含有量が世界有数とのこと。日本では、資源枯渇やコスト高で閉山・休山が相次ぎ、いまや商業規模の金採掘はここのみですが、所在地の伊佐市では市税の1割を支える一大産業のようです。金価格の上昇が地方創生にも役立っているというのは意外でしたが、また価格が下落したらどうなるのか、とやや不安にもなります。
 
しかし、最近は金価格に対して明るい見方が大勢となっています。ピクテ・ジャパンの今日のレポート(※)では、現在2623ドル(1トロイオンス)の金スポットは、1年以内に3000ドル(現値比約+14%)まで上昇すると予想しています。理由は、これまでも米国の利下げ局面に上昇する傾向があったこと、地政学リスクが高まっていること、今後米国で債務上限問題再燃リスクや格下げリスクなどがあることなどです。

レポートによれば、金は、過去20年のデータに基づくと米国株と概ね5:5の割合で保有すると、分散効果が効いた上、高いリターンとなりました(いずれの資産も円換算の場合)。相関が低いから当たり前、と思う方もいるかもしれませんが、同じく米国株と相関が低い国債を組み入れた場合、リスクは抑えられますがリターンが半分以下となりました。金の場合、米国株と相関が低いだけでなく、株価が下がっても連れ安しにくく、かつ、株価上昇時にも国債ほど下落する確率が高くないためとみられます。

それにしても、なぜ利息もつかない金がこんなに安定的に値上がりしているのでしょうか。やはり、数千年にもわたり、人種に関わりなく愛でられてきたという実績と希少性は大きいと思います。日本の金鉱山の閉山の多さからしても、金がいかに希少な資源なのかがわかりますし、今のペースで採掘を続けたらあと20年程度で世界で既に発見されている金は枯渇するとされています。

いや、金など自分はきれいだと思わないし、価値も信じない、という方は、お母様やパートナーに、ぜひプレゼントに欲しいものを挙げてもらってみてください。「光り物」の威力を思い知るのでは、と思います。

(※)10月9日レポート「金と株式の組み合わせのもたらす運用効率の向上」
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