人口は世界1位、経済改革やインフラ整備が本格的に進むインド

インド関連株に関心が高まっている。国連経済社会局の推計によると、インドの総人口が2023年4月までに14憶2577万人となり、中国を抜いて世界一になったとみられる。2050年代には17億人近くまでの増加が見込まれているうえ、平均年齢が28歳と若く、人口ピラミッドもきれいな形を描く。人口首位だった中国が人口減少期に入り、不動産価格の低迷などで中国経済が鈍化しているのとは対照的な動きになっている。

2014年にモディ首相の政権発足から、製造業振興を軸とする「メーク・イン・インディア(インドで作れ)」をキャッチフレーズに経済改革を進めてきた。具体的には外資規制の緩和や複雑な税体系の見直しなどを導入している。

インドではGDPの6割を個人消費が占めており、経済成長に伴う賃金の増加で耐久消費財の普及などが進むとみられる。1人当たりGDPは3000ドル超えが迫るが、これは日本の1970年代に相当するという。また、道路や鉄道などのインフラ整備もこれからが本番だ。

順調な株式市場、西側諸国によるインドへの生産拠点移転も鮮明化

株式市場も順調に推移している。主要な株価指標であるSENSEX指数は右肩上がりとなっている。国の成長を評価していることに加え、欧米の長期金利がピークアウトして利下げモードに入り、リスクマネーが新興国に流れている面もある。こうした資金がインド経済のさらなる発展に寄与する可能性もある。さらに、米中対立で、西側諸国は生産の拠点を中国からインドに移転する動きも鮮明化している。日本企業の中にも、インドで業績を伸ばす企業や、投資に動く企業が相次いでいる。

インドでの事業展開や投資に積極的な日本企業銘柄6選

ダイキン工業(6367)

エアコンの世界大手。外資系通信社のインタビューによると、インド事業でトップを務める取締役が生産増強を図ることを明らかにしている。ニューデリーの気象観測所では、2024年夏に過去最高気温となる52.9℃を記録した一方で、国民の93%がエアコンを所有していないことにも触れている。ダイキンは2000年にインドへ進出し、現在業務用で6割、家庭用で2割のシェアを持つトップメーカー。インドには現在2工場があるが、3ヶ所目を計画し、2027年の稼働を目指すと報じられている。

【図表1】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年10月3日時点)

ユニ・チャーム(8113)

生理用品、乳幼児・大人用紙おむつで国内首位。インドには2008年に進出。当初は生理用品や紙おむつを使う習慣がないことで市場創造に苦戦したが、2018年に黒字に転換。報道によれば、ベビー用紙おむつ市場でシェア4割を獲得しているといい。パンツ型紙おむつ「マミーポコパンツ」などがヒットし、浸透している。インドは出生率が高いことから、今後の市場拡大が期待される。

【図表2】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年10月3日時点)

オムロン(6645)

感知・制御技術が基盤で、稼ぎ頭は制御機器。血圧計などヘルスケア分野にも強みがある。2023年5月、子会社であるオムロンヘルスケアがインド・タミルナド州にある工業団地に、新工場を建設すると発表した。新工場では家庭用や医療機関用の血圧計を生産する。加速する経済成長と人工増加の影響により、インドでは生活習慣病が増加している。脳卒中や心不全など脳・心血管疾患の要因の1つに「高血圧」が挙げられ、オムロンによれば、インドの血圧計普及率はわずか約2%にとどまっているという。

【図表3】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年10月3日時点)

ID&Eホールディングス(旧日本工営)(9161)

インフラなどの総合建設コンサルティングで国内首位。2023年7月に純粋持株会社体制に移行。ID&Eが事業に参画しているバングラデシュのダッカ都市高速鉄道(ダッカMRT)の16駅・20キロメートル区間が2023年11月に開業。世界でも有数の人口密集地帯であるダッカ首都圏は、これまで都市内交通としての軌道系交通がなく、道路の交通渋滞や排気ガスによる環境汚染が深刻だった。同プロジェクトは多くの日本企業が関与し、ID&Eは整備開始の2014年から同路線の全体(土木・建築・電気・軌道・車両など)を対象に、基本計画、設計、入札支援、施工管理などを広範囲なコンサル業務を行ってきた。同路線はさらに延伸も計画されている。

【図表4】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年10月3日時点)

セイノーホールディングス(9076)

持ち株会社傘下に路線トラック最大手の西濃運輸がある。2024年5月、インドのコングロマリット(複合企業)であるマヒンドラグループの物流会社と10月に合弁会社を設立すると発表。インドはモディ首相の「メーク・イン・インディア」戦略のもと、国を挙げて製造業の強化に取り組んでおり、世界の工場としての存在感を増している。貨物輸送の需要も拡大することが見込まれる。

【図表5】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年10月3日時点)

スズキ(7269)

2024年3月までにインドにおける4輪車の累積生産台数3000万台を達成したと、2024年4月に発表。現在のインドでのシェアは4割程度。インドでの自動車販売店を2030年までに7割増の6800店程度に広げるとの一部報道もある。国民の所得増もあり、全土に販売網を構築するという。

【図表6】週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2024年10月3日時点)