東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続伸となりました。553円安の34,122円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分で936円安の33,739円まで下落した後持ち直すとプラスに転じ10時50分過ぎに1,174円高の35,849円まで上昇しましたが、買い一巡後に伸び悩むと789円高の35,464円で前場を終えました。

692円高の35,368円でスタートした後場の日経平均は14時前に1,157円高の35,832円まで上昇しましたが、前場に付けた高値を前に伸び悩むと引けにかけて上げ幅を縮め結局414円高の35,089円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

キヤノン(7751)が一時12.8%高となりました。自己株式を除く発行済株式総数の3.3%にあたる3200万株、1000億円を上限とする自社株買いを発表したことで大幅高となりました。

第1四半期決算を発表したニチレイ(2871)やIHI(7013)、ソフトバンク(9434)も大きく上げました。ニチレイは加工食品事業が堅調に推移していることなどから390億円とみていた通期の営業利益の見通しを405億円に上方修正したことで一時13.4%高となりました。

IHIも旅客需要の回復を受けて民間向け航空エンジンやスペア部品の売り上げが伸びたことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で2.7倍となったことから一時11.2%高となりました。

ソフトバンクも2021年春の携帯料金引き下げの影響で落ち込んでいたモバイル事業が回復したことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で23.4%増となったことで一時7.6%高となっています。

また、買い戻しの動きが続きメガバンクが大幅高となりました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時12.6%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時13.5%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)も一時12.4%高となりました。

一方で第1四半期決算を発表したリコー(7752)やNTTデータグループ(9613)が売られました。リコーは海上輸送用コンテナの需給が逼迫した影響で複合機の納入に遅れがでたことや、構造改革費用も重荷になり第1四半期の営業利益が前年同期比で37.7%減となったことから一時13.4%安となりました。

NTTデータグループは円安で第1四半期の営業利益が前年同期比で0.6%増と増益を確保しましたが、市場予想を下回ったことから一時14.5%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は414円高となりました。昨日に急伸した反動やドル円が144円台を付け円高に振れていたこともあって売りが先行し、朝方には930円以上下げる場面もありました。しかし、日銀の内田真一副総裁の「市場が不安定な状況で、利上げすることない」との発言を受けて147円台まで円安が進んだことで上げ幅を大きく広げました。

1,200円近く上昇する場面もあったことから一日の値幅は2,110円となり、本日も値動きの荒い展開となりました。過去最大値幅の急落と急伸の後だけにマーケットが完全に落ち着きを取り戻すのにはもうしばらく時間がかかりそうです。

なお、決算発表が続いています。本日も引け後に富士フイルムホールディングス(4901)や資生堂(4911)、ソニーグループ(6758)、レーザーテック(6920)、ホンダ(7267)、ニトリホールディングス(9843)、ソフトバンクグループ(9984)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)