・7月の初めに、1米ドル=162円目前までドル高円安が進んだが、7月11日の日銀の介入をきっかけにドル安円高に転換し1ヶ月弱で急落した。急に円高が進んだ要因として、日銀が発表した政策金利の利上げが指摘されるが、利上げは0.1%から0.25%とわずかであり、これだけで1ヶ月20円もの急落は説明できない。政策金利差が原因ではないと考える。

・CFTC統計の投機筋の米ドル/円のポジションを見ると、7月の初めに過去最大に拡大していたドル買い円売りが急減している。一方、日米の10年債利回り差は5月のピークから縮小を続け、年初来の最低を下回っている。政策金利差はたいして縮小していないが市場金利差は非常に縮小している。なぜこれだけ金利差が縮小したにもかかわらず円安の更新が続いたのか。

・金利差の縮小を無視しても、10年債利回り差が3%を超えるという円売りに有利な状況の中、投機筋のドル買いが拡大していた。しかしその状況は変化していた。それが7月に入り転換した。ドル円が急落する動きは、投機筋のドル買いポジションが減る動きと連動しており、かなり相関性が高いことがわかる。

・この急激な円高は投機筋による円売りが大きく後退・縮小したためであろう。投機の円売りバブルの破裂によって、円高への揺り戻しが起こったと考える。また日経平均急落は円高の影響が大きいのではないかと考える。

・相場の動きが一時的なものか継続的なトレンドの変換なのか。その判断には52週MA(移動平均線)を用いる。今週、52週MAを大きく下回り、投機円売りは終わり、トレンド自体が円高に転換した可能性が高いとみている。