もみ合い続く日経平均、改めて移動平均線によるテクニカル分析とは

日経平均は依然としてもみ合い基調で、6月21日は5日移動平均線と25日移動平均線に挟まれるような値動きとなり、ローソク足は「十字足」を形成するなど、気迷いが続いています。

テクニカル分析はシンプルなものから複雑なものまで数多く存在します。移動平均線による分析は前者に部類するもので、テクニカル分析の入門編とも言える分析手法になります。移動平均線と一口に言っても、その計算期間によって動きはさまざまです。

短期の移動平均線は、相場の変化をいち早くとらえることができるという長所がある一方、ダマシが多いという点が短所になります。 逆に長期の移動平均線は、ダマシが少なく大きなトレンドを把握できるという長所がある一方、相場に対して遅行するという短所があります。

中期の移動平均線は、両者の中間的な存在です。ただ、何を基準に短期と中期と長期に分けるのか、それはチャートを眺める期間によって異なります。概ね短期は「10日」や「25日」、中期は「75日」、長期が「200日」というのが一般的です。

例えば25日なら、直近25日間の終値を全部足して25で割ったものが移動平均値で、それを日々繋げたものが移動平均線です。移動平均線の分析で大切なものは傾きになり、移動平均線の傾きを見てトレンドを把握することが重要です。25日移動平均線が上向き(上昇基調)であれば、概ね1ヶ月間の相場は強気相場の上昇トレンドが続いていると判断します。

移動平均線から読み解く、日経平均の今後の動き

さて、日経平均の25日移動平均線は6月21日時点で38,700円付近を推移しており、傾きは横ばいです。そのため、短期は強気でも弱気でもありません。ただ、相場への追随性が良いため、数日間の相場で多少の変化が生じると傾きは上にも下にもすぐに変化します。つまり、ダマシが多いということです。

一方で、中期の75日移動平均線は6月21日時点で38,950円付近を推移しており、6月に入ってからは横ばいから下向き(下落基調)に変化してきています。75日前の水準が上昇しながら4万円台に入ってきたからです。計算対象期間の最も古い数値が日を追うごとに消えていくため、今の株価が4万円台を一気に回復する動きなどがなければ、当面は下向きが続きやすいでしょう。中期でみると、弱気相場の下落トレンドにあるという判断となります。

「高値からの押しは浅い方が良い」というのと同じく、調整期間も短い方が相場基調は強いでしょう。高値から75日(約3ヶ月)も調整が続くような相場は弱い、ということです。

ただし、今回のようなパターンは過去に何度が経験しています。まずは、2021年2月中旬頃につけた高値からの調整や2023年7月高値からの調整局面がそうで、中期の75日移動平均線が下向きに変化してからは相場の調整がそれなりに長引いた経緯があります。

今回、厳密に言うと微妙に下向きに変化し始めたのが6月13日と最近のため、これから調整が長引く可能性が高いと判断できます。上記の過去2回の局面では、長期の200日移動平均線の前後まで調整が続きました。今回もそのような想定もしていくべきなのでしょう。

その200日移動平均線は6月21日時点で、35,800円どころを上向きながら推移しています。株価がここから一気に200日移動平均線まで下げると大変な相場環境になってしまいますが、株価が現状を維持したとしても、200日移動平均線が株価に近づくまでには、しばらく時間が必要になります。

(6月23日執筆時点)