エヌビディアの採用が指数に明暗
先週のマーケットの注目は世界時価総額3位を誇るエヌビディア[NVDA]の第1四半期の決算発表でした。市場の事前予想を上回る決算発表を行ったエヌビディアの株価は先週15.1%上昇し、エヌビディアの株価の動きが米国の主要指数のパフォーマンスの命運を決めた週でもありました。
エヌビディアが指数の5.79%を占めているS&P500は先週0.003%上昇、指数の7.11%を占めるナスダック100は1.41%上昇し、先週5月24日(金)に史上最高値を更新しました。
一方、エヌビディアが指数に採用されていないダウ工業株価指数は先週2.33%の下落となりました。エヌビディアのパフォーマンスが各種指数のパフォーマンスに極端な差を生んだのです。どの銘柄が採用されているか、それが指数の命運を分けたというブルマーケットの真っ只中での非常に興味深い展開でした。
エヌビディアの目標株価の上方修正相次ぐ
2024年の年初から株価が92%上昇していたエヌビディアですが、今回の業績はこれまでの株価高騰を正当化できるか、同社株に対する視線は厳しかったはずです。結果はというと、市場が注目していた今期のデータセンター部門の売り上げは前年比でほぼ427%増加、今回も投資家の期待を上回る決算発表を行い、市場のAIに対する需要の強さに加え、改めて同社の製品の凄さを世界に認知させる内容となりました。来期の売上についても同社は前年同期の2.1倍前後の伸びを見込んでいると発表し、これを受けエヌビディアの調査を行なっているウォール街のアナリストのうち33人が決算発表後目標株価の上方修正を行なっています。その平均上昇率は20%です。
全体的には決算発表前のアナリスト53人による1年後のエヌビディア株の平均目標株価は1,083ドルでしたが、発表後の上方修正を受け1,170ドルとなっています。
加えて今回エヌビディアは1対10の株式分割と、四半期配当を150%増の1株当たり10セントにすることも発表しています。株式分割は会社の価値を変えるものではないものの、個人投資家が同社株を買いやすくなったことはプラスです。
今回の決算発表を受けエヌビディアの時価総額は約2,200億ドル(約34兆5200億円)増加、2兆5000億ドルを超えたのですが、この増加額だけで半導体大手インテル[INTC]の時価総額を超えていますから、エヌビディアに対する投資家の評価の高さがわかります。
S&P500年初100取引日リターンは過去最高
5月23日はちょうど今年100日目の取引日でした。S&P500は過去1年間で27%上昇し、2024年に入ってからの上昇率は10%を超えています。
ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、これは2021年以降で最高の年初100取引日のリターンであり、大統領選挙の年としては過去最高とのこと。S&P500が最初の100取引日で10%以上上昇した場合、その年の残りの期間は平均8.6%の上昇となり、85%の確率で上昇しているとのことです。
先週の当コラムで私は2024年末のS&P500のターゲットは5,500ポイントであると解説しましたが、このようなデータは私の強気の見方をサポートするアノマリーとなっています。
今週の注目はPCE(米個人消費支出)デフレーター
第1四半期の決算発表も終了し、企業関係のニュースは第2四半期の決算発表が始まる7月の半ばまで一休みとなり、これからのマーケットを動かすのは経済指標となります。今週の注目は、5月31日(金)に発表される予定のPCE(米個人消費支出)デフレーターです。これはFRB(連邦準備制度理事会)が最も注視していると言われています。価格変動が激しい食品とエネルギーを除いた4月分のコアPCEの予想は前年比2.8%、3月と同じ予想になっています。