エヌビディアの決算は市場予想以上

今週のマーケット展望(5月20日付け『日経平均の今週の予想レンジは3万8000円~3万9500円』)でもストラテジーレポート(5月10日付け『上値の重い展開は当然 よって悪いことではない』)でも、エヌビディア[NVDA]の決算発表に対して過度な期待は禁物と述べたが、僕のその予想は半分外れて、半分当たった。

エヌビディアの決算自体は非の打ち所がない内容だった。2024年2~4月期決算は純利益が前年同期比7倍強に、売上高が同3.6倍に拡大。市場予想を上回った。エヌビディアは5~7月期の売上高見通しを280億ドル前後と示したが、これも市場予想以上であった。10:1の株式分割も発表した。これらを受けて同社の株価は急伸し、終値は初めて1000ドルの大台をつけた。

僕は、エヌビディアの決算自体は良好なものになるだろうと述べた。しかし、市場の期待が高すぎて、その高いハードルをクリアするのは難しいのでは、とも述べた。ところがエヌビディアはあっさり、その「高いバー」をクリアしてみせたのだ。

米国市場全体は急落で大幅安

しかし、昨日の米国市場全体は大幅安となった。はっきり言って、エヌビディア1銘柄の独歩高だ。ほかのハイテク株は、アップル[AAPL]をはじめメタ[META]、アルファベット[GOOGL]、マイクロソフト[MSFT]、アマゾン[AMZN]などGAFAMが軒並み安。アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]、インテル[INTC]など半導体株も安い。結局のところ、エヌビディアは好決算だったが、株式市場は急落した。

金利上昇が重荷、日本株の上昇は見込み薄

日経平均も一時、700円を超える大幅安となった。日本株の場合、金利上昇が重荷である。長期金利は1%を超えた。2012年4月以来約12年ぶりの高水準をつけた。「異次元緩和」導入直後の2013年5月以降の最高水準を更新した。

このところ、日本株の上値が重いとずっと言い続けてきたが、その諸悪の根源は日銀である。
なんで、こんな状況で出口を急ぐのか。市場との対話もうまくいかず、疑心暗鬼を生んで長期金利の(不必要な)上昇を招いている。それでも為替の円安は止まらない。

この日銀のスタンスは拙速以外の何物でもない。日銀がこのスタンスを改めない限り、日本株は上向かないだろう。そして、おそらく日銀は聞く耳を持たないだろうから、日本株の上昇は見込み薄である。