東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発となりました。287円高の38,361円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分で667円高の38,741円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと237円高の38,311円で前場を終えました。

179円高の38,253円でスタートした後場の日経平均は13時30分前に52円高の38,126円まで上げ幅を縮めましたが、マイナスになることなく踏み止まるとやや持ち直し結局155円高の38,229円で取引を終えています。

一方で新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表し市場予想を上回る業績予想を発表した銘柄が買われました。ダイキン工業(6367)は欧米や国内などで空調機器の売り上げが伸びると見込まれることなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で8.4%増となる見通しを示し、市場予想を上回ったことから一時11.0%高となり年初来高値を更新しました。

ツムラ(4540)も2024年度の薬価改定で66品目が再算定の対象となり薬価が引き上げられたことなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で97.3%増となる見通しを発表し、市場予想を上回ったことから19.0%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。

神戸製鋼所(5406)は電力事業で燃料費の変動を遅れて電気料金に反映する燃料費調整制度の「期ずれ」に伴う利益がなくなることなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で11.6%減となる見通しを示しましたが、市場予想を上回ったことから一時9.9%高となっています。

また、SUMCO(3436)も一時11.5%高となりました。半導体シリコンウエハーの販売が振るわず第1四半期の営業利益は前年同期比で66.5%減となりましたが、販売数量や生産数量が予想を上回ったことなどにより会社計画を大きく上回ったことから大幅高となりました。

一方で本決算を発表したパナソニックホールディングス(6752)が一時5.7%安となり年初来安値を更新しました。家庭用エアコンや電設資材の販売が海外で堅調に推移することなどが見込まれることにより2025年3月期の営業利益が前期比で5.3%増となる見通しを示しましたが、市場予想を下回ったことから大幅安となりました。

同じく本決算を発表した日本製鉄(5401)も中国の不動産不況による鋼材価格の下落が響き2025年3月期の事業利益が前期比で25.3%減となる見通しを示したことから一時4.9%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は155円高となりました。米新規失業保険申請件数が悪化したことで労働市場の過熱感が薄れ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに動きやすくなるとの見方が強まり昨日の米国市場が上昇したことから買いが優勢となりました。

一時は660円以上上げ昨日に上値を押さえた75日移動平均線(38,453円)や、一昨日に上値を押さえた25日移動平均線(38,558円)を上回る場面もありましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと大きく上げ幅を縮めました。

そのため一日を通して堅調に推移したものの上値の重さが意識されそうで、来週は決算発表が終盤を迎えるなかで75日移動平均線や25日移動平均線を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、本日も引け後にマツダ(7261)やホンダ(7267)、オリンパス(7733)、東京エレクトロン(8035)、三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、KDDI(9433)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の23時には5月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)