2024年5月9日(木)14:00発表
日本 2024年3月の景気動向指数

【1】結果:一致指数は生産・出荷の回復から上昇

先行CI指数 111.4(111.2)
一致CI指数 113.9(114.0)
遅行CI指数 106.2(調査なし)

(カッコ内はブルームバーグ集計の市場予想、中央値)

2024年3月の景気動向指数は概ね市場予想通りの結果となりました。一致指数が、前回比2.4ポイント上昇した一方で、先行指数・遅行指数はそれぞれ、0.7ポイント・0.6ポイント下落しました。一致指数は同月鉱工業生産指数の改善がプラスに寄与しています。

鉱工業生産指数は生産・出荷ともに今年に入り自動車工業で工場の稼働停止があったことから、1月・2月は指数を下押ししていたものが3月に入り、再開されたことをきっかけに約1%ポイントほどプラスに寄与しました。しかし、均してみるとまだ下降トレンドであることから、基調判断は先月と同様の「下降への局面変化」と発表されています。

【図表1】景気動向指数の推移(2020年=100、シャドーは景気後退期)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:自動車関連工業の再開がプラスに寄与

一致指数は、自動車関連工業の工場稼働再開に伴う鉱工業生産・出荷の持ち直しが上昇に寄与しました。鉱工業生産については、3月の速報値において自動車関連以外にも半導体製造装置などの生産活動の拡大が示されていることもあり、好材料が多い結果でした(4月30日レポート「2024年3月の鉱工業生産は前月比+3.8%で持ち直し」参照)。一方で、商業販売額(小売業・卸売業)が縮小し、寄与度は比較的小さいながらも不安材料が残っています。

先行指数は、最終需要財在庫率指数(寄与度:-0.59%ポイント)や鉱工業用生産財在庫率指数(寄与度:-0.64%ポイント)といった在庫の積み上がりが指数を下押ししました。在庫については一時要因である可能性が高いこともあり、引き続きの注視が必要ですが、3ヶ月平均線から読み取れるトレンドは上昇基調にあります。

遅行指数では現時点で発表されている系列において、コアCPIがマイナスに寄与しています。トレンドとしては横ばい、ピークをつけているようにも見られます。構成系列において、サービスの生産活動を示す第3次産業活動指数がインバウンド需要などを理由に2月では大きく上昇していました。サービス需要は引き続き堅調であると考えられるので、遅行指数にはプラスに寄与するものと考えられます。

【図表2】先行指数・一致指数の推移(2020年=100、点線は3ヶ月移動平均線)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【3】所感:基調判断は改善していくと予想

一致指数は上昇したものの、基調判断は2ヶ月連続で「下方への局面変化」に据え置かれました。生産・出荷について、自動車関連の工場稼働停止は一時要因による下押しであったと判断できるでしょう。自動車関連については、稼働停止期間の挽回生産が見込まれることから引き続き堅調に推移するものと考えられます。

今回、自動車関連工業以外に半導体製造装置などの生産用機械や電子部品・デバイスについても増産が確認できたことは好材料です。今後の動向としては、生産以外の構成系列であるコアCPIや給与、商業販売額など、家計の消費関連項目が上向いていくかに注目が集まります。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太