【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 37,903.29 △87.37 (5/1)
NASDAQ: 15,605.48 ▼52.34 (5/1)
1.概況
米国市場は小幅に高安まちまちとなりました。ダウ平均は前日に大きく下げた反動で反発しましたが、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は半導体株が売られたことなどで続落となりました。ダウ平均は29ドル高でスタートすると直後にマイナスに転じました。しかし、35ドル安で下げ渋ると持ち直し米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を午後に控え様子見となるなか小幅高での推移がしばらく続きました。その後パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がFOMC後の会見で「次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低い」と述べたことを受けて急速に上げ幅を広げると一時は533ドル高まで上昇しましたが、引けにかけて一気に上げ幅を縮めると結局87ドル高の37,903ドルで取引を終えています。一方でS&P500株価指数が17ポイント安の5,018ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も52ポイント安の15,605ポイントとなっています。
2.経済指標等
4月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は19万2000人増となり市場予想を上回りました。一方で4月の米ISM製造業景況感指数は49.2と前月から低下し市場予想も下回りました。3月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数も32万5000件減の848万8000件となり市場予想を下回りました。3月の米建設支出も年率換算で前月比0.2%減となり市場予想を下回っています。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の据え置きを6会合連続で決めました。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会見で、インフレが持続的に2%に向かうと確信するまでに「想定よりも時間がかかりそうだ」との見解を示しました。その一方で「次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低い」とも述べています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや情報技術、生活必需品などの6業種が下げ、エネルギーと情報技術は1%を超える下落となりました。一方で公益事業やコミュニケーション・サービス、素材などの5業種が上げ、公益事業は1%以上上昇しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄ではジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]が4%を超える上昇となったほか、決算で売上高が市場予想を上回ったアマゾン・ドット・コム[AMZN]も2%以上上げました。ボーイング[BA]とスリーエム[MMM]も2%以上上昇しています。一方でナイキ[NKE]が2%余り下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、決算を発表した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]が4-6月期の売上高の見通しが市場予想並みに止まったことから9%近く下げています。他の半導体株にも売りが波及しブロードコム[AVGO]が4%を超える下落となり、エヌビディア[NVDA]も4%近く下げました。マイクロン・テクノロジー[MU]も3%近く下落し、クアルコム[QCOM]も1%安となっています。半導体製造装置株も安く、KLA[KLAC]とラム・リサーチ[LRCX]が3%前後の下落となり、アプライド・マテリアルズ[AMAT]も2%以上下げています。また、サーバーなど電子機器製造のスーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]が決算で売上高が市場予想を下回ったことで急落し14%安となっています。さらに、スターバックス[SBUX]も決算で売上高が市場予想を下回ったことなどから16%近く下落しています。
5.為替・金利等
長期金利は0.05%低い4.63%となりました。ドル円は朝方に急速に円高が進み155円前後で推移しています。一時は153円近辺まで円高が進む場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国市場で半導体株が売られたことや、急速に円高が進んでいることから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の38,000円を割り込みそうで、売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)