先週の中国株はまちまちでした。大型株主体の上海総合指数は小幅上昇となりましたが、中小型株主体の深セン総合指数と創業版指数は週末に急落して小幅安となっています。先週指摘したように、8月8-9日に発表された7月の中国の各種経済指標が予想よりも良いものだったことに加え、中国人民銀行が9日に発表した、中国の国内金融機関の7月の元建て新規融資が6999億元となったことが好感されました。新規融資額は6月の8605億元からは縮小したものの、エコノミスト予想の6330億元を上回りました。また、7月末時点のM2(通貨供給量)についても前年同月比14.5%増となり、6月末の14.0%、エコノミスト予想の13.8%をそれぞれ上回りました。

先週はその他にも中国経済の復調と見なされるニュースが注目されました。まず、中国の不動産会社2社が合計33億元の資金調達計画を発表していますが、これが認められるとの期待が高まっています。最近不動産に関しては緩和されることはないものの、より厳しい政策は発表されておらず、中国共産党中央政治局も不動産市場の安定的で健全な発展を促進するとの見方を示しています。また中国汽車工業協会が発表した7月の乗用車販売台数が前年同月比10.5%増と、6月の9.3%増から加速していることも、中国の内需が予想以上に堅調であるニュースと見なされ注目されました。このような流れから、大型株に景気底打ち期待の買いが入る一方、中小型株には利食い売りが出ています。

香港ハンセン指数、香港H株指数は大きく上昇しています。こちらもやはり、中国経済について予想以上に底堅い指標が出てきていることが評価されていることに加え、これまで大きく売り込まれてきたため株価水準が割安である点から見直し買いが入ってきているものと思われます。香港H株指数は抵抗線となっていた50日移動平均線を上に大きく突き抜けたところです。今後、中国経済についてさらに堅調な数字が出てくれば見直し買いがさらに進み、このまま200日移動平均線を上抜けるような上昇になることが期待されるところです。

コラム執筆:戸松信博