2024年4月8日(月)8:50発表
日本 2024年2月 毎月勤労統計

【1】結果:実質賃金は依然マイナス、名目ベースでは上昇    

現金給与総額<名目賃金> +1.8%(+1.8%)
実質賃金 -1.3%(-1.4%)
所定内給与 +2.2%(調査無し)
共通事業所ベース所定内給与 +2.1%(2.0%)

(前年比%、カッコ内はBloomberg集計の市場予想、中央値)

【2】内容・注目点:所定内給与が+2.2%と大きく上昇

2024年2月の名目・実質賃金はともに概ね市場予想通りの結果となりました。実質賃金は前月(2024年1月公表値)-1.1%であり、小幅にマイナスとなりました。物価が2%台で安定的に推移していることもあり、実質ベースでの前年比上昇は、春闘の結果が反映され始める4月・5月以降と考えられます。

【図表1】現金給与総額<名目賃金>と実質賃金の推移
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

一方で、ベースの給与となる所定内給与(残業を除いた給与)は、共通事業所ベースともに上昇基調が確認できます。共通事業所ベースとは、調査対象を同じサンプルに限定した推計であり、推移の連続性を確認することができます。これら2指標も、春闘の結果が反映される前であることから向こう数ヶ月に上昇が期待されます。

【図表2】所定内給与の推移
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【3】所感:春闘の結果の反映で、実質賃金もプラス転換に

2月の賃金指標は、コンセンサス通りの結果でした。賃上げの機運は高まっており、春闘も回答が出そろう中で、5%を超える水準が達成される想定です。中小企業の賃上げ動向も注目されますが、先週の回答速報値では4.69%と高水準の回答結果が発表されていることもあり、向こう数ヶ月の指標では実質賃金もプラス転換していくことが期待されます。

また、日銀短観の雇用人員判断DIからも雇用の不足傾向が続いていることが確認できます。企業にとっては人員獲得競争の観点での賃上げ圧力もかかり、長期的にも賃上げ基調は続くのではないかと考えられます。

【図表3】日銀短観 雇用人員判断DI
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太