◆6月に入って約1週間。昨日、関東甲信越地方も梅雨入りした。欧米では6月に結婚すると幸せになれるという言い伝えがあるが、梅雨時の日本に「ジューンブライド」を持ち込んだところで結婚式が雨にたたられるのがオチ。そもそも「ジューンブライド」がよしとされるのは欧米においては6月が最も気候の良い月だからである。
◆英国がEU残留か離脱(BREXIT)かで揺れに揺れている。英国は、成熟した大人の国だけあってこれまでEUと微妙な距離を置いて関係を保ってきたが、ここにきていよいよ白黒はっきりさせなくてはならなくなった。残留派は、メリット・デメリット双方あるが差し引きすればメリットのほうが多いのだから残ろうという。その場合はEUの一員として責任も負い、義務や負担も受け入れなければならない。離脱派は、そんなのゴメンだから、この際きっぱりと別れて独りでやっていくべきと主張する。メリット・デメリット、責任、義務、負担...まるで結婚や離婚の悩みのようだ。
◆EU離脱を唱える層には高齢者が多い。それに対して若者はEU残留支持が多いとみられている。そうなると国民投票の投票率が鍵を握る。どこの国でも若年層の投票率は低い。若者が投票に行くかどうかが国民投票の結果を左右しそうだ。だからEUに残留したいキャメロン政権は国民投票を6月に実施することにした。英国でもっとも晴天率の高い月だからである。投票日が悪天候では若者や浮動票を握る有権者の出足が鈍ることを懸念しての配慮である。果たして6月に国民投票をすると英国は幸せになれるだろうか?結婚に関しては6月にしても幸せになれるとは限らないのは言うまでもない。
◆2年前にも「新潮流」でジューンブライドを取り上げたが、あまりに辛辣に書き過ぎたのか、読者から「広木さんの結婚観って本当にネガティブですよね」と言われた。そんなことはない。僕は男女のパートナーシップを非常に大事なものと尊重している。
先日、若い後輩から相談を持ち掛けられた。
「半年前からある女性と同棲しています。彼女はきれいで、思いやりがあって、とても気がききます。料理も上手で、ファッション、映画、スポーツなどの趣味も僕と完璧に一致しています。ふたりでいるとこれ以上ないくらい幸せで穏やかな気持ちになれます。一緒に暮らしてまだ半年ですが僕らは結婚するべきでしょうか?」
僕は即答した。
「そんなに素晴らしい関係を、台無しにするのはやめなさい」