日銀の金融政策変更はインフレ時代のはじまり

今月の日銀の金融政策決定会合で、黒田前日銀総裁が進めてきた異次元緩和政策が終わりを告げ、マイナス金利も終了しました。

それだけではなく、長期金利の上昇を抑えるイールドカーブ・コントロール(YCC)やETFなどのリスク資産の市場からの買い入れも行わないことになりました。

これは、日本国内のデフレ環境がインフレ基調に変わり、2%を超える消費者物価の上昇が定着することを日銀が認めたことを意味します。中央銀行がインフレ時代の到来を告げる大きな経済の転換点と言えます。

預金者・年金生活者はインフレによる資産の目減りに注意

インフレとは物価が継続的に上昇していくことを指します。貨幣価値の相対的な下落が続き、インフレに弱い経済基盤の人たちを悩ませることになります。それは預金者と年金生活者です。

預金者は低い金利で資産を保有しているため、インフレによってそれを上回る貨幣価値が下落することから、実質的な資産がじわじわと減っていくことになるのです。

また、年金生活者もインフレによる年金支給額の実質的な減少に悩まされます。物価スライドによる調整があったとしても、支給額の増加にはタイムラグがあり、インフレには充分対応できません。

デフレ時代には安定していた預金者・年金生活者はインフレによる資産の目減りに注意が必要です。

インフレを考慮した資産防衛を

インフレを取り巻く環境に対応するには、インフレに強い資産を持つことです。

一般的に、株式、不動産、金(ゴールド)、暗号資産等は、インフレによる価格上昇が期待できる資産と言えます。

これらの資産に分散して資金を配分することにより、将来のインフレに備えた資産防衛を行うことができます。

借り入れも強力なインフレ対策

また、お金を借りることも強力なインフレ対策になります。インフレになって資産価格が上昇しても、借り入れ金額に影響はありません。

例えば、借り入れで不動産投資を行い、インフレで不動産価格が上昇したとしても、借入金額は増えません。

借り入れはインフレ対策として極めて有効な手段の1つでもあるので、投資のための良い借金はしておくべきだと考えます。

「国と同じポジション」を取っておく

日本は年間70兆円程度の税収があるにも関わらず、1200兆円の財政赤字を抱えています。これは、人間に例えると年収700万円の人が1億2000万円を借りているのと同じ状態です。

大規模場増税や歳出削減ができない日本では、財政赤字問題はもはやインフレでしか解決することは不可能だと思っています。国が財政赤字問題をインフレによって解決することができれば、同じように借り入れを実質的に軽減することができることになります。

インフレに対抗するには、一般的にはネガティブな印象を持たれることが多い借金も有効な資産運用対策となります。

インフレになってからインフレ対策をしても間に合わない

インフレは災害と似ています。災害が起きてから防災対策をしても手遅れなのと同じように、インフレになってからインフレ対策をしてももう遅いのです。

将来の大地震や火災に備えて防災訓練をするのであれば、それと同じように今からインフレ対策をしっかりと行っておくべきでしょう。

1980年代の昭和バブル以降、30年以上続いていた日本のデフレ時代はいよいよ終わりを告げようとしています。

「デフレ脳」から脱却し、インフレに対応した資産運用をしっかり考え、実践していく人がこれからの資産を守り、増やせる人になるのです。