先週の上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数、ハンセン指数はそろって小幅上昇となりました。週初は中国政府が公的債務の緊急調査を実施すると発表したことから地方政府が抱える債務への懸念が膨らみ下落してスタートしました。しかしその後、中国人民銀行(中央銀行)が規模は小さいものの短期金融市場への資金を供給したことや、中国政府が環境産業と通信産業を積極的に発展させていくと述べたことなどから反発。その中でも、ハンセン指数は大手企業の決算が好調なことが株価の支援材料となり、より底堅い動きとなっています。
8月1日には上海A株市場上場の不動産会社、新湖中宝が私募割り当て増資を通じて55億元を調達する計画を発表。7月30日の中央政治局会議では不動産市場の安定的かつ健全な発展を促進する方針を発表していることから、これを中国政府が認可するとの見方が強まり、中国政府が景気対策として不動産企業の資金調達を認可するとの見通しが拡がって不動産株が全般的に上昇しました。ただ、新湖中宝は老朽化した住宅の再開発に集めた資金を投下する計画と発表していることから、中国当局は住宅の再開発や低所得者向け経済住宅である保障房の開発については資金調達などの規制を緩めていく方針であるのかもしれません。
その他、先週は7月の中国公式製造業景況指数(PMI)が発表されました。結果は50.3となり、6月の50.1から上昇したほか、アナリスト予想の49.8を上回りました。しかしながら、同日にHSBCが発表した7月の中国製造業景況指数(PMI)確報値は速報値の47.7と変わらずで着地。こちらは6月の確報値である48.2から一層悪化しています。HSBCとの乖離があることを見ても、中国公式PMIの上昇には不透明感があるように感じます。その一方で、HSBCのPMIは景気により敏感な中小型企業の影響を強く反映しますので、やはり全体的な景況感は厳しいのだと考えます。 コラム執筆:戸松信博