東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続落となりました。350円安の38,470円で寄り付いた日経平均は10時30分過ぎに549円安の38,271円まで下落しました。しかし、円高の一服もあって売り一巡後に持ち直すと233円安の38,586円で前場を終えました。140円安の38,679円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を縮めると大引け間際にプラスに転じ21円高の38,841円を付けましたが、プラス圏では上値は重く大引けにかけて売りがやや優勢になると結局22円安の38,797円で取引を終えています。一方で新興市場は高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

東宝(9602)が一時3.5%高となりました。2月の映画営業部門の興行収入が前年同月比79.9%増と高い伸びとなったことで買いが優勢となりました。アパレル大手のTSIホールディングス(3608)も7.1%高となりました。2月の既存店売上高が前年同月比で7.1%増となったことで大幅高となりました。女性向けフィットネスジムを運営するカーブスホールディングス(7085)も一時9.0%高となりました。会員向け物販において新商品の販売が当初予想を上回って推移していることや、広告宣伝費を当初予想から積み増す効果も期待できることなどから47億円とみていた2024年8月期の営業利益の見通しを49億円から51億円に上方修正したことで買いを集めました。システム開発のセック(3741)も14.8%上昇しストップ高となりました。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の国際宇宙ステーション(ISS)内積載物の運搬・操作ロボットシステム「PORTRS」の ISS実証用システムの開発の契約先に選定されたことを材料視した買いが入りました。セレス(3696)も3.9%高となりました。暗号資産のビットコインが最高値を更新したことから暗号資産の交換業者に出資しているセレスが買われました。一方でルネサスエレクトロニクス(6723)が一時5.4%安となりました。半導体市況の回復が遅れ不透明感が高まるなかで定期昇給の半年延期や人員削減を実施すると伝わったことで足元の業績の厳しさが改めて意識されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は22円安となりました。米エヌビディア[NVDA]が2%安となるなど昨日の米国市場で半導体株が売られたことで続落となりました。しかし、25日移動平均線(38,514円)や節目の38,500円を割り込み一時は550円近く下げる場面もありましたが、引けにかけて大きく下げ幅を縮めると一時わずかにプラスとなるなど下げ渋りました。そのため押し目買い意欲は健在だといえそうで、先高感も依然として強いといえそうです。なお、日本時間の21時30分には2月の米消費者物価指数(CPI)が発表される予定です。米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の金融政策を占ううえで関心が高いだけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)