東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅反落となりました。456円安の39,232円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分弱で973円安の38,715円まで下落した後9時20分前に663円安の39,025円まで戻しました。しかし、39,000円を超えたところでは上値が重く下げ幅を広げると11時過ぎに990円安の38,698円まで下落し984円安の38,704円で前場を終えました。933円安の38,755円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げると13時50分過ぎに1,192円安の38,496円まで下落しましたが、節目の38,500円を割り込んだところで下げ渋ると引けにかけてやや持ち直し結局868円安の38,820円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
先週末の米国市場で米エヌビディア[NVDA]が5%を超える下落となるなど半導体関連株が大幅安となった流れを受けて日本市場でも半導体関連銘柄が売られました。東京エレクトロン(8035)が一時6.1%安、SCREENホールディングス(7735)が一時9.2%安、アドバンテスト(6857)が一時7.1%安、ディスコ(6146)も一時7.5%安となりました。ソフトバンクグループ(9984)も傘下の英半導体設計大手のアーム・ホールディングス[ARM]が先週末の米国市場で6%を超える下落となったことから一時7.0%安となっています。また、円高を受けて自動車株が安く、トヨタ(7203)が一時4.6%安、日産(7201)が一時5.2%安、ホンダ(7267)が一時3.7%安、マツダ(7261)が一時5.4%安、SUBARU(7270)も一時3.9%安となりました。原油先物価格の下落を受けて石油関連株も安く、INPEX(1605)が一時6.2%安、石油資源開発(1662)が一時5.0%安、出光興産(5019)が一時3.7%安、ENEOSホールディングス(5020)も一時4.2%安となりました。さらにふるさと納税サイトを運営するチェンジホールディングス(3962)も一時21.4%安となり昨年来安値を更新しました。ネット通販大手のアマゾンが来年春にもふるさと納税の仲介事業へ参入することを調整していると伝わったことで事業環境が厳しくなるとの懸念から売りが膨らみました。一方でエーザイ(4523)が一時3.5%高となりました。米製薬大手のイーライリリー[LLY]が開発中の早期アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)が承認可否の判断を延期し、外部の専門家からなる諮問委員会を開いて安全性と有効性を検討する見通しだと発表したことでアルツハイマー病治療薬で競合するエーザイが買われました。内装工事大手の丹青社(9743)も一時14.5%高となりました。商業その他施設事業において利益率の高い案件を計上したことなどにより30億円とみていた2024年1月期の営業利益の見通しを38億円に上方修正したことで買いを集めました。大日本印刷(7912)も一時5.9%高となりました。自己株式を除く発行済株式総数の8.31%にあたる2000万株、500億円を上限とした自社株買いを発表したことで大幅高となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は868円安となりました。先週末の米国市場で半導体株が大幅安となったことに加え、一時146円台半ばまで進んだ円高もあり大幅安となりました。これまでの上昇スピードが速かっただけに調整も大きくなりがちだといえますが、一時1,200円近く下落するなど大きな下げとなったことから警戒ムードもやや強まりそうで、明日以降も下げが続いた場合には25日移動平均線(38,408円)を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)