東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続落となりました。272円安の38,935円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで331円安の38,876円まで下落した後下げ渋ると10時30分には48円安の39,159円まで持ち直しましたが、戻し切れないと再び下げ幅を広げ254円安の38,953円で前場を終えました。304円安の38,903円でスタートした後場の日経平均は直後に321円安の38,886円まで下落しましたが、朝方に付けた安値を割り込むことなく下げ渋ると持ち直し14時30分過ぎにプラスに転じ14時40分過ぎに42円高の39,250円を付けました。しかし、プラス圏では上値が重く引けにかけてやや売りが優勢になると結局41円安の39,166円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に上げましたが、新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

セブン&アイ・ホールディングス(3382)が一時6.9%高となり上場来高値を更新しました。傘下の百貨店そごう・西武に続いて、祖業であるイトーヨーカ堂についても売却を含め検討を始めていることが分かったと伝わったことで構造改革の一段の進展を期待した買いが入りました。三菱鉛筆(7976)も一時5.3%高となりました。ドイツの高級筆記具メーカーのLAMY(ラミー)の全株式を同社の創業家から取得し連結子会社化すると発表したことで収益の拡大を期待した買いが入りました。セレス(3696)も一時4.6%高となり昨年来高値を更新しました。暗号資産のビットコインが6万ドルの大台を回復したことから交換業者に出資しているセレスが買われました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと1.6%安で取引を終えています。あおぞら銀行(8304)も一時18.0%高となりました。旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスがあおぞら銀行株を共同保有者と合わせて5.42%保有していることが関東財務局に提出した大量保有報告書により明らかになったことで大幅高となりました。一方でイビデン(4062)が一時6.1%安となりました。生成AI(人工知能)のサーバーなどに使う高機能の半導体パッケージ基板の需要に対応し、岐阜県大野町で建設を進める新工場の設備投資資金に充てるためユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債)を発行し、約730億円を調達すると発表したことで将来的な希薄化や需給悪化を警戒した売りが出ました。ルネサスエレクトロニクス(6723)も一時4.1%安となりました。三菱電機(6503)が保有するルネサスエレクトロニクス株をすべて売却すると発表したことで株式需給の悪化を懸念した売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は41円安となりました。持ち高調整や利益確定の売りが出て昨日の米国市場が下落となったことで続落となり、下げ幅を広げ節目の39,000円を割り込む場面もありました。しかし、昨日時点で25日移動平均線との乖離率が依然として5%超となっていたことからすると本日の下げも昨日同様にスピード調整とみることもできそうで、下げ渋り小幅にプラスとなる場面もみられたことから押し目買い意欲は強く、最高値更新への期待は引き続き高いといえそうです。なお、日本時間の22時30分には米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する1月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表される予定です。1月の米消費者物価指数(CPI)と1月の米卸売物価指数(PPI)同様に市場予想を上回るようなことになれば早期の利下げ観測が一段と後退する可能性もあることから結果が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)