日本株絶好調の中で、昨日(2/27)は、銀行株が1.7%上昇し、業種別で第2位の上昇率となりました。年初来の上昇率は18.5%と、東証全体の上昇率12.8%を大きく上回っています。
昨日の上昇の理由は、昨日発表された消費者物価上昇率で日銀の利上げ観測が高まったこと。それと、他の業界に比べてPBR等で割安感が強いということです。確かに銀行業界の平均PBRはいまだに0.7倍台です。
銀行株は過去にも「出遅れ」「割安」という理由で買われることがありました。しかし、銀行は残念ながら、規制業種であることから、PBRを他業界と単純に比較することは困難です。例えば米国でも銀行業界の平均PBRは、地銀では0.95倍、大手行でも1.2倍で、S&P500の平均の4.6倍からは相当低いです。社会のインフラとしての業務があることから、低採算の業務を捨てて資本効率にのみ注力するわけにはいかないため、そう簡単に資本効率を引き上げられるわけではありません。
さらに、足元の物価上昇率の上振れで銀行株が買われるというのもやや違和感があります。日銀がマイナス金利を解除し、さらに利上げを続けるかどうかは銀行株にとって極めて重要です。が、それを予想するのに注目すべきは、足元の物価上昇率ではなく、賃金上昇が続くか、そしてその結果、年後半以降も物価上昇が続くかどうかです。
今の相場は、とにかく「買う理由」を探している市場です。その中では、ちょっと牽強付会な論調も出てきて、安易に乗ると、“しっぺ返し”をくらう可能性もあります。単純比較の「割安」論や、合理性が薄い連想ゲームには注意した方がいいかもしれません。