先週の上海株式市場と深セン株式市場は週末に急反落となりました。香港市場も下落こそしなかったものの、ほぼ横ばいです。しかし、その一方で、中国の新興銘柄の株価指数である創業版指数は7月19日(金)にザラ場ベースで最高値を更新しています。上海総合指数よりも深セン総合指数が好調であるところから見ても、資金は小型株に向かっていることがわかります。中国の楼継偉財政相が7月17日(水)に財務相のウェブサイトで中国は(2008年の4兆元の経済対策のような)大規模な景気刺激策を年内に打ち出す可能性は低いと指摘しているところをみても、中国の景気減速懸念は当面続き、時価総額の大きな国営企業の業績や株価は当面軟調に推移する可能性が高いように見えます。

しかしスローダウンしたとは言っても中国は7%を超えるGDP成長を続けているわけです。そして、中国政府は輸出や投資主導型から内需主導型の経済に構造転換を図ろうとしています。もちろん内需関連でも習近平政権が推し進める三公消費(公務活動における飲食費、公用車費、海外出張費)の削減などの影響を受ける企業が多いので、全体的にはあまりよくないムードが続いていますが、年々市場規模が広がるインターネット業界や政府が力を入れていくとしている省エネルギー業界(天然ガス、太陽光、シェールガス関連など)や中低所得者向けの保障性住宅業界の中には指数全体が下がる中でも、今なお上昇を続けている銘柄も存在します。

代表的な銘柄を挙げるとインターネット業界ではテンセント(00700)、キングソフト(03888)、省エネルギー業界では興業太陽能(00750)や華油能源(01251)、保障性住宅業界では中国建築国際集団(03311)、その他でも中国生物製薬(01177)や長城汽車(02333)など好調な銘柄があります。これは市場全体が下がる中でも、好調な株価パフォーマンスを残せる可能性がある銘柄として、今後も注目していけるのではないかと思います。

コラム執筆:戸松信博