東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに大幅反発となりました。138円高の36,258円で寄り付いた日経平均は9時30分過ぎに323円高の36,443円まで上昇した後一旦伸び悩みました。しかし、10時50分頃からさらに上げ幅を広げると後場に入り14時前には837円高の36,956円まで上昇しました。その後は伸び悩みましたが、引き続き高値圏で推移すると結局743円高の36,863円で取引を終え昨年来高値を更新しています。一方で新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表し通期の業績予想を上方修正した日本製鉄(5401)やテルモ(4543)が買われました。日本製鉄は原料価格が想定よりも下がり鋼材の販売価格との差であるマージンが拡大することなどから4200億円とみていた通期の純利益の見通しを4700億円に引き上げたことで一時4.8%高となりました。テルモも為替相場が期初の想定より円安で推移していることなどから1325億円とみていた通期の営業利益の見通しを1400億円に引き上げたことで一時10.2%高となり上場来高値を更新しました。ソフトバンクグループ(9984)も一時11.2%高となり昨年来高値を更新しました。傘下の英半導体設計のアーム・ホールディングス[ARM]が決算を発表し、通期の業績見通しを上方修正したことから米国市場の時間外取引で株価が急騰したことで買いを集めました。

また、昨日の米国市場でエヌビディア[NVDA]が上場来高値を更新するなど半導体株が買われた流れを受けて日本市場でも半導体関連株が高く、東京エレクトロン(8035)が一時4.0%高、アドバンテスト(6857)が7.6%高、SCREENホールディングス(7735)が一時3.4%高、ディスコ(6146)も一時3.8%高となり、揃って上場来高値を更新しています。一方で本決算を発表した花王(4452)やAGC(5201)が売られました。花王は前期に実施した構造改革の効果で2024年12月期の営業利益が前期比で2.2倍となる見通しを示しましたが市場予想に届かなかったことで失望売りが出て一時3.3%安となりました。AGCも電子機器関連や医薬分野の復調で2024年12月期の営業利益が前期比で16.5%増となる見通しを示したものの市場予想を下回ったことで7.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は743円高となりました。昨日の米国市場が続伸となり、ダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。朝方は節目の36,500円を前に伸び悩む場面もありましたが、日銀の内田真一副総裁の発言を受けて日銀がマイナス金利解除後も金融緩和的な姿勢を維持するとの見方が強まり一段高になると1月22日に付けた昨年来高値(36,546円)を大きく上回り節目の37,000円に迫る場面もありました。そのため先高感がさらに強まりそうで、ピークを迎える決算発表を支えに明日以降37,000円を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、本日も引け後には富士フイルムホールディングス(4901)や住友金属鉱山(5713)、日産(7201)、ホンダ(7267)、ニコン(7731)、ソフトバンクグループなどが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)