人々の注意をいかにして惹きつけ、どのように生かすか、という議論が「アテンション・エコノミー」という概念です。

どんなに多くの資産を持つ人でも、時間は1日24時間しかありません。注意力は、こうした時間に制約される、最も希少な「富」です。企業は何とかこの富を奪おうと、好奇心を無理やりにでも引き起こします。例えば、「殆どの人が誤解している5つのこと」とか「最後に思いがけない展開が待ち受ける」とかのタイトルに人々は惹きつけられ、その先を知りたいとDMをクリックしてしまいがちです。この好奇心というのはものすごい力を持っていて、ある研究では、人々は手品のトリックを知るためなら、時として電気ショックも厭わないということが示されています(Lau氏他、2020年)。

こうした好奇心の誘惑の渦の中で、我々が新しいことに振り向けられる注意力の「余力」は近年大幅に減少している可能性があります。誘惑を遮断することも必要ですが、残された富を有効に使うことはより重要です。

投資もそうです。専業トレーダーか、投資が最大の趣味という人々を除けば、他に仕事や趣味を持ちつつ、その傍らで投資も行っているのが一般的でしょう。その場合、自分の本業に注意力を使うことが、長期的にはより価値を生むと考えられます。ならば、投資についてはプロのアドバイスに委ねるか投資信託を購入するなどして、日々の動きは注意を払わないというのも一案でしょう。

タイトルで無駄に注意を惹きつけようとしましたが、「思いがけない展開」がなくてすいませんでした…。今後、注意力節約のため、このコラムは飛ばされてしまうのではと不安に駆られますが、引き続きどうぞよろしくお願いします!