東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日ぶりに反落となりました。278円安の36,008円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで140円安の36,146円まで戻した後下げ幅を広げると10時に346円安の35,940円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると262円安の36,024円で前場を終えました。299円安の35,987円でスタートした後場の日経平均は13時50分前に362円安の35,924円まで下落した後持ち直しましたが、その後も引き続き軟調に推移すると結局275円安の36,011円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

第3四半期決算を発表し通期の業績予想を上方修正した銘柄に上場来高値や昨年来高値を更新するものがみられました。TDK(6762)は中国でスマートフォン向けの電池販売が想定を上回って推移していることや、為替の想定レートを円安方向に見直したこともあり1500億円とみていた通期の営業利益の見通しを1700億円に引き上げ一転して増益予想となったことで一時6.6%高となり上場来高値を更新しました。また、富士電機(6504)も電気自動車(EV)の需要拡大に伴ってパワー半導体の販売が好調に推移していることなどから960億円とみていた通期の営業利益の見通しを市場予想を上回る1000億円に引き上げたことで一時5.6%高となり上場来高値を更新しました。さらにJR東日本(9020)も新型コロナウイルス禍から旅客数が順調に回復していることで2700億円とみていた通期の営業利益を3100億円に上方修正したことに加え、1株を3株にする株式分割を発表したこともあって一時6.6%高となり昨年来高値を更新しました。一方で上期決算を発表したレーザーテック(6920)が一時5.3%安となりました。主力のマスク検査装置などの出荷が堅調に推移していることや、為替の想定レートを円安方向に見直したこともあり640億円とみていた2024年6月期の営業利益を670億円に引き上げましたが、市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。あおぞら銀行(8304)も21.5%下落しストップ安となりました。米国の不動産向けローンで引当金を計上することにより通期の最終損益の見通しを240億円の黒字から280億円の赤字に下方修正したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は275円安となりました。米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で早期の利下げに慎重姿勢を示し昨日の米国市場が下落となったことから売りが優勢となりました。節目の36,000円を割り込む場面もありましたが、35,900円を前に下げ渋ると36,000円を上回って取引を終えました。そのため押し目買い意欲は依然として健在だといえそうです。なお、3月決算企業の第3四半期決算発表が先週からスタートしています。本日も引け後には武田薬品工業(4502)や京セラ(6971)、三菱自動車工業(7211)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や10-12月期の米労働生産性指数速報値が発表されるほか、2日の午前0時には1月の米ISM製造業景況感指数などが発表される予定です。さらに1日の米国ではアップル[AAPL]やアマゾン・ドット・コム[AMZN]、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ[META]、ハネウェル・インターナショナル[HON]、メルク[MRK]などの決算発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)