先週の上海株式市場と深セン株式市場、香港株式市場は揃って続落となりました。しかし、共に短期的な底打ちを感じさせるチャートとなっています。まず、上海株式市場と深セン株式市場ですが、6月24日(月)に大幅下落し、6月25日(火)も場中は大幅続落となりました。これは先週指摘した流動性の逼迫が続き、銀行株が下落したためです。特に理財商品(金融商品)の資金償還のための資金調達に困難が生じる可能性のある中規模銀行が大きく売り込まれました。しかし、中国人民銀行(中央銀行)が大手銀行に対し、資金放出を支持すると共に、資金逼迫に対処し、必要があれば銀行を支援するとの声明を発表したことから短期金利が低下し、株価も6月25日(火)の引けにかけて急激に戻し、長い下ヒゲをつける形になりました。

その後、一進一退を続けましたが週末の6月28日(金)には中国国内メディアで不動産会社への資金調達規制が緩和される可能性があるとの報道がなされ、これをきっかけに不動産株が上昇しました。また、短期での契約が多い理財商品の償還のピークが上半期決算の6月末で山を越えると見られるため、とりあえず目先の資金逼迫は峠を越したとの観測も市場心理を後押ししました。これでチャートは長い下ヒゲをつける一方で、出来高が盛り上がりながら反発を示すチャートになりましたので、目先は50日移動平均線レベルまでの反発が期待出来そうなチャートとなっています。

他方、香港株式市場は米国株のリバウンドの影響を受け、週後半の反発が比較的大きくなっています。香港株式市場もまずは50日移動平均線まで反発を期待できるようなチャートです。今後についてですが、中国当局はバブルの発生源となるような無秩序な理財商品の販売をこの機会に根絶しようとしているようですので、当面はタイトな金融政策が続く見込みです。したがって、短期的には50日移動平均線までの反発は期待できるものの、中期的な上昇は期待しにくいところです。中期的な上昇が期待できるようになるには、6月や上半期の経済統計が発表され、国内経済のスローダウンが一層明白になり、国務院(日本の内閣にあたる)がインフラ投資などの景気支援策を発表する必要があると思います。

コラム執筆:戸松信博