昨日、日銀の2日間の金融政策決定会合が終了しました。これを受けて、マイナス金利解除の時期は、次の3月18・19日の可能性が3割強、4月25・26日の可能性が4割強と感じています。

4月の方がやや可能性が高いとしているのは、決定会合はあくまで合議であるためです。歴史的イベントになるマイナス金利解除については、会合でどんな議論があったか、今後の見通しはどうか、ということを非常に丁寧に説明する必要があります。植田総裁の一世一代の見せ場です。そのためには、やはり、合議で出された最新の政策委員の見通しを参照するのが妥当と思われます。加えて、4月の会合は連休前で、日本市場が消化する時間もあります。

と書きましたが、これらの見方は目新しくもなんともない、とご批判をいただきそうです。新味のなさの言い訳ではないですが、そこが植田総裁のコミュニケーションの巧さだと思います。

発表後に様々な方のコメントやレポートが出ましたが、微妙な違いこそあれ、殆どの方の見方が一致しています。それだけ、会見を聞いた人々の受け止め方に違いや誤解が生じていないということです。これは、植田総裁が会見で繰り返していた「非連続性」やサプライズを市場に生まないためにとても重要なことだと思います。

昨年末には、総裁の言葉尻から市場が動揺したこともありました。こうした非公式発言は、一部だけを切り取られ、本人からの背景説明もないため誤解が生じます。市場にとってはノイズです。その点、事前に練りに練られている発表文と会見のQ&Aは、政策のシグナルとして過去以上に有効だと感じています。

今後2ヶ月は総裁からのシグナルが途絶えるため、再びノイズが増えるでしょう。しかし、昨日受けたシグナルからブレることなく、春のマイナス金利解除の可能性とその市場影響度について、粛々と分析を進めておきたいと思います。