東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は7日ぶりに反落となりました。7円高の35,909円で寄り付いた日経平均は直後に53円高の35,955円を付けた後マイナスに転じると下げ幅を広げ10時30分前に314円安の35,587円まで下落しましたが、売り一巡後に下げ渋ると持ち直し109円安の35,792円で前場を終えました。146円安の35,755円でスタートした後場の日経平均は13時50分前に302円安の35,598円まで再び下げ幅を広げると結局282円安の35,619円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
大手海運株が買われました。米軍がイエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海を航行していた米貨物船を弾道ミサイルで攻撃したと発表したことで海運運賃がさらに上昇するとの見方が強まりました。日本郵船(9101)が一時3.9%高、商船三井(9104)が一時3.2%高、川崎汽船(9107)も一時3.8%高となり、日本郵船と川崎汽船が上場来高値を更新したほか、商船三井も昨年来高値を更新しました。第3四半期決算を発表した船舶用電子機器メーカーの古野電気(6814)も一時17.4%高となり昨年来高値を更新しました。販売が好調に推移するなか、収益改善に取り組んだ効果もあり50億円とみていた2024年2月期の営業利益の見通しを60億円に上方修正したことから買いを集めました。本決算を発表した串カツ田中ホールディングス(3547)も一時14.2%高となり昨年来高値を更新しました。主力の串カツチェーン「串カツ田中」の新規出店強化などにより2024年11月期の営業利益が前期比で13.9%増となる見通しを示したことで買いが優勢となりました。沖電気工業(6703)も一時4.5%高となりました。2024年7月の新たな紙幣の発行に伴うATMの切り替えで沖電気工業では今年度のATMの生産台数が前の年度の2倍にあたる2万台近くになる見込みと伝わったことを材料視した買いが入りました。上期決算を発表した半導体商社の佐鳥電機(7420)も一時8.6%高となり昨年来高値を更新しました。車載向け半導体の需要増や円安により34億円とみていた2024年5月期の営業利益を47億円に引き上げたことで大幅高となりました。不動産運用のいちご(2337)も一時12.7%高となり昨年来高値を更新しました。自己株を除く発行済み株式数の2.7%にあたる1200万株、30億円を上限とする自社株買いを発表したことで上げ幅を広げました。一方で本決算を発表した保険代理店を運営するFPパートナ(7388)が一時10.4%安となりました。2024年11月期の営業利益が前期比で21.1%増となる見通しを示しましたが市場予想に届かなかったことで大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は282円安となりました。わずかに上昇して始まりましたが、伸び悩むと利益確定の売りが出てマイナスとなり下げ幅を広げました。しかし、昨日時点での25日移動平均線との乖離率が7%超まで広がり短期的な過熱感が強まっていたことからすると必要なスピード調整だとみることができそうで、昨日までの6日間で2,600円以上上昇した後にしては下値も限定的で底堅かったといえそうです。なお、日本時間の22時30分には1月のニューヨーク連銀製造業景況指数が発表されるほか、16日の米国ではゴールドマン・サックス[GS]やモルガン・スタンレー[MS]などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)